■ わたしのいなくなった世界で、あなたはわらってくれますか

魔力の暴走させて意識が飛んでいたようです。目覚めたときには小さな家の中でゆらゆら揺れる椅子に腰かけていました。もしかしたら、無意識でテレポを使ったのかもしれませんが、まだまだ、眠たくうつらうつらしていました。まるで、長い夢を見ている気分になりましたが、私の足は綺麗な青をした魚の足ですので、その足が夢じゃないぞと訴えていましたので、気分は沈みました。ゆらゆら揺られながら、魔力の暴走させてから、の記憶を掘り返していましたが、はっきり思い返せないので、まだ暴走の反動かもしれないと判断し、眠たさもあって目を閉じていました。

どれぐらい寝ていたのかよく解りませんが、遠くから人の臭いだけはよく、わかって、ゆるゆると目を開けると、そこに、見慣れた顔が一つありました。

「セシル?!」
「父上をご存知ですか?」

よくよく、見ると記憶の中にいるセシルとは違う瞳の色は、親友の色をした少年だった。目の前の少年は、セシルを父と言った。

「セシルの子?」
「はい!セオドアと言います。」

きらきらした瞳に、ローザの面影を感じて、胸が痛む。彼は幸せになれたのでしょうか。そう問いかけようかと、口を開きかけた瞬間、セオドア?と誰かの声を聞いた。

「ポロム!あんちゃんたち、呼んでこい!アーシュラやんぞ!」
「え。えぇ!」

パタパタ足音を立てて少女が一人走っていった。誰かを連れていくのでしょう。駆け足で消えていく。魔法の詠唱を始める彼に、慌てて静止をかけようと、したのですが遅く魔法は私に向かって降りかかってきました。

「魔法は駄目!」
「魔物は黙ってろ!サンダガ!」

切り刻まれて、異端の姿になった私は既に魔の物と箱に入れられるのは仕方なのないことです。人でない。と、言われるのはやはり、ショックで一瞬躊躇いました。なにと、言えば良いのでしょうか。と考えた瞬間、背中から腹にかけて槍が貫かれました。口からボコりと、音を立てて血を吐き出して崩れ落ちると、背中から「セオドア大丈夫か?。」と、懐かしい声が聞こえて、私の私は、無性に泣きたくなりました。
聞きたいと思っていた声が、まさか、こんなところで、聞こえるなんて思ってもいなかったのですから。私の記憶の中にある声とはほんの少し低くて、彼が元気そうで私は、安堵したのです。

「カインさん!僕は大丈夫ですけど、彼女が…」
「魔物に同情するな。セオドア」
「でも、彼女は、僕の父の名を嬉しそうに呼んでました」
「何?!」

ついこの間、彼はバロンを出ていったはずなのに、その姿は年老いた気がしました、セシルの子が、いるのですから、私が眠っている間に、死にそびれた間に年月が過ぎたのでしょう。驚いた顔をしてそこに立っていました。フルフェイスの兜もなく、彼の素顔を久しぶりに見た気がしました。私が彼を呼ばなくなったのもそっけなくやったのも、私が悲しそうな彼を見るのが辛いから、という、身勝手な理由ですから。私にしてもかなり長い時でした。
貫かれた傷から、だくだくと命の証が流れていものの。止める術を知らない私の世界はだんだんと狭まっていく中で、彼は駆け寄っておい、という声と、共にうつ伏せ状態の私を仰向けにして、地面と私の背中に膝を捩じ込んで肩を抱くのです。

「メロウ!今ケアルを」
「熱い、要り…ません。」
「何を、言っている!」
「魔物になったのですから、」

切り捨ててください。人でも魔物でもない私ですから。と伝えれば、馬鹿かと、彼は起こるのですが、私はそれに、やりあうつもりはありません。視界は狭くなってきて見えにくくなっているのですから。私の望んでいた終わりは、大好きなカインの腕の中で死に行こうとしてるのですから。

「あなたが、熱い…ですよ。」
「セオドア、ローザを呼んでこい!」
「はい!」
「いらない。必要は、ないよ。」

お願いだから、このまま死なせてほしい。と、伝えどカインは聞き入れてくれません。もう、うすく、彼の顔はうまく見えなくて、彼の瞳の青が、あぁカインだ。と思い、最後の力を振り絞って、彼の胸に頭を寄せて彼を見上げて言葉を選ぶのです。彼の青さえ見えなくなって、聞こえなくなって、きちんと、呟けてるのかわかりませんが、言わせてください。

「カイン。」

幸せに笑ってください。私の分まで。
私がいない世界で、幸せになってください。

オセロ
わたしのいなくなった世界で、あなたはわらってくれますか

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