「一生きみの傍にいたい。いい?」
「…うん。だいすき、」
―――――――――
――――――
絆
――――――
―――――――――
むかーしむかし、あるところにぃーお
バコッ
「痛っ!ちょ、なにすんのばか!!」
「俺は昔話をしろって言った覚えはねぇがなぁ……?」
「昔話じゃないし!話そうとしたら翔太が止めたんですぅー。
別にこう始めろとか言ってないくせに」
「さっさとしろ」
「そんな目で見なくってもいいじゃん!」
はぁ……。
翔太はなんでこんなにもわがままなのかねぇ。
昔はあっんなに可愛かったのに……。
どこでどう間違えたかなぁ。
「――しぃ?お前、そんなに俺に泣かされたいか…」
そうかそうか、
ヤ バ イ !
「まさかそんなわけないじゃないですか翔太さん!いやだわぁ、ちょっとした戯れごとでしょう?
アハハ、本当にもう…」
「さっさとしろ」
っ!睨 ま れ た ! !
「はいぃ!えぇっと確かあれはですね!幼稚園くらいだったかと思われます隊長!」
「幼稚園、ね。……で?」
「スルーかよ!ひどいわ!!!」
「あーはいはい。さっさと進めやがれ下僕E」
「えっ嘘!?下僕ぅ!!?てかしかもE!?何E?!何故E?!誰だABCD!!?」
「相模平井松瀬伊藤」
「あぁー……。なるほど…」
「んじゃ続けろ」
「ん。幼稚園の年長さん?のときに、流行ったんだよ一時期。
これも覚えてないかな…?
先生が続々と結婚していって、まあ結婚ラッシュ。
それと、テレビの……アニメもドラマもだね。やたら結婚だとかずっと一緒にいよう、みたいな話が多かったのさ。
で、まあませてた子達を筆頭に幼稚園でも流行って、あたし達の周りも影響されてね?
ついにあたし達も汚染されちゃったってわけです」
「つまり、」
「うん。馬鹿みたいに将来を約束して信じたんだよ」
翔太自身、途中でさすがに思うトコロはあったのか、苦々しい顔をして結論を急いだ。
そして結論を聞いた後今現在、膝に頭を埋めぶつぶつ呟いている。
…ふむ。そんなに嫌だったか。
あたしは正直どっちかというと嬉しいというのに。
ん?好きだからって?
まさか(笑)んなワケないって!
過ぎ去りし日の若すぎる1ページには夢溢れてると思わない?
自慢だよねぇ、あんな台詞言われたとかさ。
はー、本当若かったなー。
「しぃは、どうだったんだ?
そんな約束して、あまつさえ覚えてて」
翔太はようやく立ち直ったらしい。
さっきの失態を挽回しようとしてるのか、弱みを握ってやるとばかりの気迫で迫られたあたしは考える。
……恥じらうべきか、否か。
「うーん、と。……えへへ」
はにかむように笑ってみせて、
「役得、役得♪」
とニヤっと笑いつつ余裕をぶっこく。
――ピキッ
あ れ … ?
「――よし。そこに直れ椎華。
お望み通りナかせてやる」
「あはははは。
………ひぎゃーーー!!!!!」
ごめんなさい自分調子のりました!すんません!
っ逃げさせてぇえええ!!!
―――−−……
「一生しぃの傍にいたい。
いい?」
「…うん。だいすき、しょーくん」
ほんとのほんとはね、毒されたからじゃないんだよ。
あたしたちが、子供のなかでのはじめ、だったんだよ。
――ねぇ? 今もまだ傍にいるんだから、あの約束は破られていないでしょう?
……いつか、あたしたちの関係が明確になるまで。
これはあたしだけの思い出。
(ねぇ、ほんとは)(あぁ、覚えてた、よ)
――――――
20100502
bkm