100回のごめんねを繰りかえすから
101回のありがとを言わせて下さい
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ぶきようなひと
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「きみのこと、ほんとうにすきだった。
……すき、だ。いまでも」
「…うん。
わたしは、あなたのこと、すきだった。ほんとに」
何が悪かったんだろう。
そんなの、問うまでもなく。
わたしがわたしで、あなたがあなただったから。
「後悔は、してないんだ。
あなたのことをすきになって、あなたとつきあって、幸せってこんなものなんだって、思った」
ずっと、優しかった。ぬるま湯に浸かっているみたいに。
傷つくこともなかった。その代わり、胸にひろがったのは空虚。
それでもすきだったのは。
あなたがあなただったから。
「僕は、もしかしたら、後悔…するかもしれない。
うつくしい片思いで終わらせておいたほうが、よかったと、思う日が」
「うん。わたしの我が儘のせいだから。…しかたないね」
心にも無いことを、くちにだす。
わたしが…、わたしのせいだから。
始まりを与えたのはわたしだった。
あの瞬間。逆の選択をしていたら、始まることもなく終わることもなかった。ただ、続いただけ。
「だけど。我が儘をとおせばさっ」
ああ、わたしはいま、笑えているのだろうか。
「わたしっすっごいすっごいたのしかった。こんな世界があるんだって、どきどきしてたっ。
無責任だしっ、酷いこと、言ってるのかもしんないけど。わたしは、きみとつきあおうとおもったことを、あの瞬間を、やりなおしたいとはおもえないんだ」
顔を、あげなくちゃ。
これだけは、めをみて、つたえなくちゃ。
「いっぱいいっぱい迷惑かけてごめんね。
素敵なじかんを、たいせつなおもいでを、ありがと」
…ブサイク、そう言ってわたしの頬をひっぱるきみは
やっぱり、やさしさであふれていた
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memo.
20110125 hina