狂愛です。
あえてタイトルをつけるなら

中はどろっと外はさらっといたいヤキモチ


_________________________________________________


「愛してる愛してる愛してる愛してるだから死んでよ私の為に愛してるわ大好きなのよどれだけたってもあなた以外を愛せる気がしないわ私以外を見るのならねえ私の為に死んでよ私だけを体に刻んで私に向ける感情以外を失くしてしまって私にだけ心を残して逝ってよねえあなたならそれくらいできるでしょうあなたじゃなくたってできるかもしれないけど私はあなたがいいのよあなただけでいいわあなたしかいらないだからあなたもわたしだけにしてよねえお願いよいえあなたがそうしないなら呪ってあげるわだからねえ呪われたくなんてないでしょういいじゃない私の為にあなたの一生を使ってくれないのなら私の為に死んでよ私を怨んだって憎んだって羨んだって罵ったって嫉んだって呪詛を吐いてもかまわないのよいえいえいいえむしろそうしてくれたほうがいいわだってそうしたらあなたは積極的に私しか思うことができないでしょうあなたの心は私のものでしょうほら私を憎んだってどうしたっていいから私だけを愛して私はあなたを愛してる愛してる愛してるあなただけを愛してあなただけを思ってあなただけをこの体に受け入れてあなただけと共に生きてあなただけを殺すわだからねえ私だけを愛してよ愛してあなたは言ったじゃない私といつまでだって一緒にいるって言ったでしょうねえだからほら選んでよあなたが私だけを思って私だけを愛して私だけと一緒にいて私から離れることはないと私に誓って空に誓って太陽に誓ってあなたの命に誓ってくれたら別に私の為だけに生きると言うのなら私の為に逝かなくてもいいからだからさあ選んでそんなに難しい選択肢じゃないでしょうだってほら二者択一いえそうでもないわねだってこんなのもうひとつしかないじゃない死ぬより生きたいでしょうほらじゃあ早く言いなさいよ私の為だけに生きるって私の家の中で生きるって私があなたを養って生かせてあげるからさあ早く選びなさいじゃないともうすぐ嵐がくるって予報があったわよ風も少し強くなってきたわ何が起こるかわからないわねここから落ちたらどうなると思うなんてわかりきった質問よねさあそろそろ答えなさいよ屋上なんかにいたら冷えて仕方がないわもうすぐ梅雨入りするというのにねさあ答えは悩むまでもないでしょう早く言いなさい私は早くあなたと柔らかいベッドで寝たいわさあはやくしなさ、い」


一瞬男の抵抗がなくなり、それとともなって女の拘束も緩んだ。
その一秒にも満たない時間に男の体は空に浮いていた。
女は呆然として口を開き、男は笑った。
『俺は俺のために死んでやる』
男は落ちる。
女は叫んだ。
「　　　　　　　　　　　　」



　　　




夜が明けて通勤のためサラリーマンがその高級マンションの前を車で通り過ぎるとき。


そこに落ちていた死体には顔がなかった。






＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
memo.

20100805

最近スランプだったとか生意気なことを言ってみる
とりあえず恋愛もの（はっぴーな）がかけなくなったとかいっとく