第6話






俺の話を聞いてくれますか?






第6話






跡部に話した次の日、俺は久しぶりに神社に足を運んだ。1週間ちょっと来なんだくらいなんやけど、すごく懐かしく感じた




ただいつもと違うのはサクラがおらんってこと




きっと、いや俺はサクラ傷つけた。サクラは俺にしか見えへんかった。だから、俺が唯一の話し相手やったんやろな




「サクラ、おるんやろ。でてきてくれへん?」




返事はない。ただ木々の花や葉が舞うだけだった




「俺、サクラに謝らなあかんことあんねん。でてきたくないなら、そのままでいいから聞いて欲しい」




そうやよな、普通でてこんよな…




久しぶりに見た侑士の顔。もう来てくれないと思ってた。でも、どうしてだろう…胸が締め付けられて痛い。何言われるのか恐い




「俺はサクラが精霊やといっても人のようにしか見れへんねん」




「だけどこの前俺にしか見れない、て知ってどうサクラと接していいかわからなくなってしまったんや」




ああ、そうやって貴方はあたしの前からいなくなってしまうの?昔会ったあの少年のように…




「だから、ぐちゃぐちゃに頭ん中が混乱してもうた。答えなんて始めから決まってるのに、整理すんのに時間かかってな」




「サクラ、俺は…」




いいよ、もうわかったから。聞きたくない。何も言わないで、またひとりぼっちになっちゃう…




「なにがあってもサクラと一緒や」




え…?




「やっとでてきたか、ほんまごめんな」




そっと歩みより手を握る。侑士の体温が伝わってくる




「ど、して?あたしなんかのために…」




「たかが1週間くらいやけど、気付いたんや。俺にはサクラがおらなあかんて」




握る手の力が強くなる。視界が霞んで、溜まっていた感情がとどまることなく流れてくる




「ありがとう…」






神様、願いを叶えてくれるなら私を人間にして下さい。できるなら、ずっと侑士の隣にいさせて下さい…








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