第9話
貴方のまわりは暖かいのね
第9話
私の正体。侑士との出会い。全てを話した。ただ、黙って聞いてくれてた。
「と言うことなんですけど、あのー…」
どどど、どうしよう?!やっぱり話さないほうがよかったのかな……
「ごめ、」
「すごいC!サクラちゃん、精霊なんだ!」
「え、うん。そうだよ」
手をとられて、握手する。て振りすぎでしょ!うわわわ!
「ジロー、そろそろ離したりや」
「それにしてもなんで今日は見えんだ?この前は見えなかったぜ」
「木々が力をくれたの」
「あたしが人間になりたい、て願ったから」
桜の木を見上げ、つぶやく。嬉しそうな顔をしたかと思うと、悲しそうな顔をした。
「悪りぃ、んな顔させるつもりじゃなかったんだ」
首を横に振った。
「大丈夫よ、気にしないで」
「サクラちゃん、なら今日たくさん俺たちと遊んで思い出作ろうよ」
「そうですよ!ほら、日吉も」
「ああ、後でいろいろ聞かせて下さいよ」
「喜んで。侑士…」
「行っておいでや」
「うん!」
ジローたちに続き離れたところでボール遊びを始める。
「本当だったんだな」
「なあ、跡部。俺はどないしたらいいんやろ」
「好きなのか、サクラが」
「……ああ。さっきサクラが人間やったらよかった、て言うたやろ。嬉しかってん。でも、あんなこと思うようにしてしまったんは俺や。余計に悲しませてまう」
「そうかもしれないな。でも、わかっていてもあいつも辞められないんだろ」
「わかってん。わかってんねん………でも、もう俺は自分の気持ちとめられないんや。どないしたらええか、わからんのや」
楽しそうに笑うサクラ。こっち見た。手を振れば嬉しそうに、振り返してきた。
「フッ、いいんじゃねえか。別に」
「え?」
とめようと思ったが、あんなに幸せそうなふたりとめられるわけがねえ。
「だが、最後に傷つくのはお前だけじゃない。あいつもだ。その覚悟はあるのか?」
「それでも俺はサクラの傍にいたい」
それがお前の答えか、忍足―
「俺様もまぜろよ」
「跡部くん、できるの?」
「たりめーだ、俺様にできないことはねえよ。……忍足を頼んだぞ」
「え?わっ」
今の跡部くんの言葉どういう……
後ろから侑士に抱き着かれた。
「侑士!」
「俺もまぜてや」
「なら、仕切りなおしだな!!」
忍足もサクラちゃんも幸せになれればいいのに―――
「どうした、ジロー?」
「ううん、なんでもないC」
ふたりの笑顔が続くことを俺たちは願った
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