7色
感じたモノ
あれからは何もなくいつも通りの生活に戻っていた。
学校行って、部活して、バイトしたりして過ごす。仁王とご飯食べることは既に習慣化してたりする。
「お、今日は肉じゃがか」
「あったりー、なんか急に食べたくなってさ」
「焼肉…」
「じゃあ今度ブン太と八知も呼んで焼肉パーティーしようよ」
「賑やかになりそうじゃ、楽しみにしとるよ」
そう言うとくしゃりとあたしの頭を撫でた。
「髪くしゃくしゃになるー」
「でも、柊こうされるの好きじゃろ」
「ち、違っ…なんて言うか、ほらあれだよ!ね、あれ!!」
「ほー、認めんなら…」
さらにくしゃくしゃと撫でられる。けど、仁王の手はどこか優しくて、すごく安心した。
笑ってる仁王の横顔がまだ幼くて、ああ同い年なんだな、て感じた。不意打ちだよ……
「ぎゃー、ちょ、たんまたんま!好きです、好き!!めっちゃ気持ちいいです!!」
「始めからそうすればええんに」
「だって……わっ…!」
「うん、元通り」
今度はボサボサになった髪を直してくれた。
「何笑っとる?」
「ご丁寧に直してくれるなんて律儀だなー、て思って」
「優しいじゃろ」
「かな?」
八知に変わったね、て言われた。表現が前より柔らかくなったんだって。仁王のおかげかな?
「柊?」
「ごめん、ぼーっとしてた」
急に仁王の顔が近くなる。ぎゅっと目をつむると、おでこがぶつかった。身体中が心臓みたいにドキドキしてる。
息もふれちゃいそうで、呼吸すらままならない。絶対顔真っ赤になってるだろうし
整った鼻や口に、少し細い目。そして、長い睫毛。仁王はどれをとってもそこら辺の女の子よりも綺麗なんじゃないかと思う。うー、自信なくす…
「熱はない見たいじゃけ大丈夫じゃろ」
「あ、ありがとう…」
最近のあたしはおかしい。仁王といると急にドキドキしたり、声聞くと落ち着くし…。
前はさわられてもなんにも感じなかったのに、今は仁王の動作ひとつひとつを意識しちゃって、会話もぎこちなくなったりする。
もしかして、…いやいや、あたしに限って!!
あたしは気付き始めた気持ちに戸惑うことしかできなかった
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