みんなが帰ってきたのはあれから一刻半が過ぎたころだった。
あたしは千鶴を布団に寝かせ、その傍で寄り添うように眠ってしまった。
「ねえ、聡美ちゃん。
君はなんであんなことを言ったの?」
寝ている彼女に聞こえるはずもないのに、どうしてこんなこと言ったんだろうね。
「このままだと風邪ひいちゃうから、聡美ちゃんは戻ろうね」
***
あれ、なんであたし布団にいるんだ……。
ああ、朝ご飯つくらなきゃ。
布団をでようとしたら、腰のあたりに何かが引っ付いてる感覚を感じた。
「っ!!」
おおおお、沖田さんっ?!
なんで一緒に寝てるの、てかなんであたし抱きしめられてるのおおお?!
「ん…」
「っっ!」
首元にかかる吐息がくすぐったい。
おいしいシチュエーションだなー、てそんな場合じゃなかった!
早くなんとかしないと、誰かに見られたらまずい!
嫌な汗がでてくる。
沖田さんを起こさないように、そっと手をどかそうとしたが、離れない。
どんだけ力強いんだよ、絶対起きてるでしょ。
これ、起きてるよね?!
「まだ眠いんだけど。
大人しくしててね」
耳元に息がかかり、身体が反応する。
顔見えてなくてよかった、今きっと真っ赤だ。
「どどどど、どうしよう……」
身をよじるもこれまた無意味。
と近づいてくる足音。ああ、もう間に合わない。
「おーい、総司。
いつまで寝てるつも…り、だ」
「は、ははは…お、おはようございます」
硬直する永倉さん。
嫌な汗がだらだらと流れ出す。
「…じゃ、邪魔して悪かった」
「いやいや、違いますから。
あたしも訳わかりませんからね。てか切実に助けて下さい」泣
「もうそんなに否定しなくてもいいんじゃない。さすがに傷つくんだけど」
「否定しますよ!
勘違いされたままでどうするんですか?!」
「僕はかまわないけど」
ようやく開放してくれた、かと思いきやこのやりとり。
どこまであたしをからかえば気が済むんだ。
「て、永倉さんいないし!!」
その後、あたしは朝ごはんを作りに台所へむかった。
広間から土方さんの怒鳴り声が聞こえたのに、苦笑した。
きっと軽く受け流しながら、叱られているであろう彼の姿を思いながら、あたしは朝ごはんを作った。
10.06.21
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