アレだけは、だめなんです。








「ぃ、いやあああああ!」




部室を掃除していたら、でてきたんですよ、奴らが!!




「なずなさん!」


「か、筧く…ん……」




部室から息絶え絶えにでてきたなずなさん。涙目に俺に縋り付く。必然的に俺を見上げる形になるわけで……。
うわ、やばい…。汗




「んあ、なずなどうしたの?」


「水町く、「水町、ちょっと部室見てきてくれ!」


「はいはーい」




こんななずなさん誰にも見せれるか!
ため息ひとつついて、彼女に向き合う。




「で、どうしたんですか?」


「奴らがでた……」


「えっ?」


「筧ー、ゴキブ「貴様それ以上口にだすなあああ!!」




近くにあったヘルメットが水町にクリーンヒットする。え、投げたのなずなさん?!!




「あたしは奴らが死ぬほど嫌いなのよ!人間様なめんな!今退治してやるわ、筧くんが!!」


「俺かよ!て、なずなさんなんかキャラ変わってますよ!」




















「はーい、てなわけで部室掃除しまーす。拒否権はありませんので、死ぬ気で掃除して奴らを滅亡させて下さい。
次奴らが出るようなことあったら、あたしもうマネージャーやめるんで。てなわけで開始ー」


「ななな、なんかなずなちゃん、いつもと違くない…かな?」


「もう気にしたら負けですよ」




にしても掃除してみて驚いたが結構汚れてるな。これいつのカレンダーだよ!




「筧先生、これあそこでいいっすか」


「ああ、大西それこっちな」


「わかりましたー」




部室の外の離れたところでみんなを見守る。おーおー、頑張って掃除してるみたい。あ、そうだ!




「やっと終わったぜ……」


「うんうん、綺麗になってるなってる」


「これで満足っすか、なずな先輩」


「うん、頑張ってくれたそんなみんなにあたしから差し入れです」




じゃーん!となずなさんが持ってきたのは、たくさんのおにぎり。
疲れて腹もみんな減っていたこともあり、一斉に手がのびる。




「っんま!なずな、ありがとな」


「あたしこそ我が儘言ってごめんね。アレだけは、どうしてもだめでさ」


「ま、掃除してなかったしちょうどよかったんじゃないか」




ただ俺たちが学んだのは、なずなさんを本気で怒らせてはいけないということだ。








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110208




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