隣のお国とティータイム














久しぶりだな、皇帝…歓迎しよう」
「久しぶりレオンくん!じゃあおじゃまします!」
「あ、ああ…。そこに座ってくれ」
「ありがとう。このホテル本当に豪華だよね・・・緊張しない?」
「もう慣れた。・・・紅茶だ。口に合うといいが」
「・・・ん、おいしいよ!たまにはゆっくりお茶するのもいいね」
「・・・・そうか」




ひさしぶり、なのだが妙な気分だ。
初めてあった時恐ろしいほどの力を感じた。しかし今はどうだ。
なんだこいつは。本当に同一人物なのか。
俺を罵り蒼龍の民を侮辱したことを本当に忘れてしまったようで、
おそらくこれが本来の性格なのだろうが、あまりにも違いすぎて呆然としてしまった。もし覚えているなら俺は怒っていいと思う。


座って優雅にお茶を飲んでいる皇帝サマに俺は立ったまま話しかけた。




「・・・お前は俺が欲しいか?」
「えっ」
「俺からアクアフォースをとりあげようと思うか?」
「と、とんでもない」
「__二人を、俺から取らないか・・・?」
「…レオンく、」
「なんでもない。」




ふいに口から言葉がこぼれた。つい言ってしまった。俺は自分が思っている以上に怯えていたようだ。怒るどころではなかった。二人の声が頭の中を反響する。俺ではなく皇帝陛下を呼ぶ二人。唇が震えていた。
それほどあのファイトは、二人を失いかけたファイトはあまりにも

怖かったのだ





「怖い夢をみていただけだ」


「そっか」




そういうと光定は立ち上がり俺の隣へ来て肩をつかみ自身まで引き寄せた。・・・背が高い。
立ってるだけで頭が肩の位置にすっぽり入る。顔が見えない。皇帝の手が俺の頭の上にある。あたたかい。

「よしよし」
「・・・・・何をしている?」
「悪い夢をみたっていうから」
「・・・っ、耳と首がくすぐったい」
「ご、ごめんね。ええと、もうちょっとだけこのままでいい?」
「なんだそれは」


そんな他愛も無い会話をして、しばらく二人で立っていた

「うん!まあいいかな!」
「一体なんだったんだ・・・・」

やっと俺を解放してくれた。
ああ、やはり皇帝は…光定は背が高い。
今まで身長について気にしたことはなかったが。日本に来て先導に身長に抜かされていて驚いた。
そんなに時が過ぎていたのかと驚くのと同時にふしぎな感情が胸をよぎる。そもそも同年代の男子がいなかったのだ。
ジリアンとシャーリーンは女の子だし、身長差もほとんどなかったから。
身長とはくらべられるものだ。という認識から改めた。というか、比べてしまったのは俺の方だった。
普通に立つだけだと目線が合わない。今も頭ごと皇帝の懐にあるが、
これは一体どういうことなのか。今までこんなことはなかった。櫂も俺より身長が高かったがファイト時は離れているためほとんど気にならなかった。
これは、親しくなれたということでいいのだろうか?
ファイト以外で他人と話す機会がほとんどなかった俺が、敵だった奴と同盟を結び、こうやって机を挟んで、光定と、他人と話して、まして客人としてもてなしているということ自体がとても

とても、変な感じだ

「レオンくん?」
「なんだ」

「笑ってる?」
「!そんなつもりはなかったのだが…」
「笑ってたよ。良い顔だった」
「ふん・・・」



「ちょっとはおちついた?」
「・・・多分」

はたときづくと皇帝に心をゆるしている自分がいた。
俺の大事な人を傷つけたやつなのに俺は何をしているのだろうか。
でも触れた場所のぬくもりは、とても心地よかったから
くやしいのと嬉しいのとでやっぱりあいつのことを理解するのは少し難しい
でも、この関係も、悪くない


「・・・・・光定、その、友達になってくれないか?」

「・・・うん。もちろん!」






まずは同盟からはじめよう





END

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