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「送ってくれてありがとう、今日は鬼道くんとゆっくり話せて嬉しかった!あと、傘もありがとう」

「こちらこそ、ありがとう。楽しかった」

楽しい時間は惜しいくらい早いもので、あっという間に家に着いてしまった。鬼道くんにお礼を言って、家に入る。そこまで鬼道くんは見送ってくれて、どこまでジェントルマンなんだろう。舞い上がる気持ちが抑えられない。

「今日、寝られるかな」




この不安は的中し、翌日の私は絶賛寝不足である。
眠たいがすぎる、これで授業中寝てしまったらまた鬼道くんに寝顔を見られる羽目になってしまう、なんとしてもこれは授業に集中しつつ元気そうに見せなければ。なんて意気込んで教師tに向かって歩いていると後ろから小突かれる。

「おわ、不動くんじゃん」

「よお」

どうやら朝練終わりみたいで、なんかさっぱりしているような顔の不動くんがいた。今日はA組には古典がないはずの日なのに、話しかけてくれるとは、なんか嬉しい。

「お前なんか今日やつれてね?」

「え、まじ?実は…」

昨日あったことを不動くんに話す。不動くんは最初ちょっとびっくりしたような顔をしたけれど話を聞くにつれてニヤニヤした顔で話を聞いてくれた。

「ふぅん、それでなかなか眠れなかったってか。」

「そうなの、なんだか夢みたいだった」

「おーおー、嬉しそうだな」

廊下の隅で話は続く。うんざりだ、みたいな顔する割にはちゃんと最後まで私の話を聞いてくれるあたり不動くんは見かけよりずっと良い人だと思う。

「で、個人的になんか進展はあったワケ?連絡先交換したとか」

「…な、何もない」

これみよがしにため息をつかれて私は非常に不服だ。言い返そうとした時にHR前のチャイムがなる。

「まあ、でも、寝不足なら今日は早く帰れよ」

不動くんがそういって教室に入っていく。
待って、私このままじゃ遅刻!

「ま、間に合った…!!」

「おはよう、珍しくギリギリだな 」

「お、おはようっ、き、鬼道くん…いや、その、ちょっと廊下で不動くと話してたら時間…」

めちゃめちゃ息上がってんの恥ずかしい!でも、そこまで言えば鬼道くんにも伝わったようでふっと優しい笑みを浮かべていた。

「本当に仲がいいんだな」

「まぁね!」

幸せってこういうことを言うのかな。でも、今の私は不動くんと仲良い女の子だから興味を持たれているだけで、不動くんと仲良くなかったらこんな風にはなってない。なんかその事実は少し寂しい気がした。



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