サトシがまた帰ってくる。 それはもうすっかりわたしの楽しみになっていて、家でずっとそわそわしていた。 そんな時家のチャイムが鳴り、ドアの向こうから顔を出したのはサトシのママだった。 お料理作るの手伝ってくれない?と笑顔で言うママさんに、わたしはもちろんと笑顔を返す。 今日帰ってくるそうだ、なんとも急な話しだがサトシに会える喜びは増えるだけだった。 サトシの家にお邪魔して、ママさんとバリヤードと並んで料理を次々と仕上げていく。 こんな風景ももう見馴れたもので、料理が苦手だったわたしも手際がよくなってきた。 作り始めたきっかけはママさんだった、サトシに想いを寄せているのを知っていたママさんは一緒にサトシを迎えようと誘ってくれたのだ。 出来上がった料理を机の上に並べていると来客者が次々とやってくる。 オーキド博士とケンジくん、カスミちゃん。 いつものメンバーに笑顔が零れる、ああ、そろそろだ。 ガチャ、 『サトシおかえり!』 パパパーンとクラッカーが音をたて、サトシを迎えた。 彼は少し目を見開いた後、すぐ笑顔になってただいま!と元気良く答えた。 テレビで見たサトシよりも幾分大人っぽく見えて少し戸惑う、あれ、こんなにかっこよかったっけ。 ぽーと見ているとサトシと目が合う、気づかれてしまった恥ずかしいと思う前に、ピカチュウがわたしに飛び付いてきた。 内心ほっとしながらよしよしと頭を撫でると、嬉しそうな顔をする。 「じゃあ、パーティー始めましょうか!」 「やった!ママの手料理!!」 そうして始まったパーティー、旅で色んな人と出会ったこと、バトルのこと、沢山の話しを聞かせてくれた。 しかし楽しい時間というのは早く過ぎてしまうもので、気がつけば外は暗くなっていた。 みんなが帰り、ママさんが後片付けを始めたからそれを手伝おうとキッチンへ向かう…が、腕を掴まれてしまう。 正体は言わずもがなサトシであって、そのまま手を引かれて外へ連れていかれる。 「ママ、ナマエ送ってくる!」 「え、あっ、ママさんご馳走様でした!」 「はあい、ナマエちゃんありがとうね。サトシ、しっかり守ってあげるのよー」 そうしてわたしは家まで送ってもらうことになったのだけれど、回りは暗く、街頭も少ない道を無言で歩いていた。 → |