窓際の後ろから3列目、ここが私の定位置だ。
いつものように頬杖をついて外を眺めていると、わっとその場が湧いた。見ると、ナルトとサスケの熱烈なキスシーンが。

「あー…………」

そうかそうだそうだった。
なんてったってここは卒業後の説明会。あの班振り分けをするところだ。
わかってはいた。わかってはいたけど、ようやく実感が湧いてきた。

小声で「あーーー」と意味のない声をあげて机に突っ伏す。
いやまあわかってたんだけども。こうも記憶通りだと、今後の私の人生が心配というか。なんというか。



私には、前世の記憶があった。具体的に言うと、前世における漫画の記憶が。
5歳の時、“ここ”が、“木の葉の里”であると理解した途端に流れ込んできた記憶は、私にものすごい不快感とちょっとした異質さを与えた………んだと思う。

親は不幸にも私が生まれてすぐに九尾事件で殉職し(ごく普通の中忍だったらしい)、私はというと忍びに縁がない遠い親戚の家で小さく暮らしていた。
どうやら私は相当邪魔だったようで、里はずれにある廃屋のような日本家屋だけを与えられて、親戚はどこかへ引っ越してしまったけれど。

まあ結果オーライです。どちらにしろ、早いうちに一人立ちは狙っていたわけだし。家はオンボロで立地も悪いが、なんとか暮らしてはいける。しかも、アカデミーに通ってる孤児は里から支援金やらなんやらが出る。里の人たちは、私みたいに普通の孤児には案外優しいのだ。

クナイやらなんやらの忍具は、演習場に落ちてるものを再利用していた。消耗品はお金がかかる。
おかげで忍具の手入れや修理は上達したし、起爆札の扱いは忍具店のおっちゃんに教えてもらえた。万々歳だ。

おかげ様でで今は平々凡々なアカデミー生である。座学で義務教育の素晴らしさを実感し、実技でチャクラの意味不明さに半ギレしながらなんとか基本忍術は使えるようになり、成績は中の中の上くらい。器用貧乏で、ちょっとだけ座学ができるド平凡だ。

そんな私だが、一応忍者は目指せる、と思ってたんだけれど。

「ユズ!聞いてるか?お前は2班だからな!」

イルカ先生の声に同班メンツを見てみると、清々しいほどのモブ顔。そして記憶にない“2班”。
……これは忍者になれるのか厳しいんじゃない?大丈夫………?





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