入学式を終え、割り振られた自分のクラス、自分の席に座った私はそのまま顔を突っ伏した。
鉄板だが言わせて欲しい。
どうしてこうなった
私、千歳ケイが入学したのは鳴門高校。まあ有りがちな名前だと思っていた。鳴門って地名あったし違和感なんて覚えなかった。
つい先程までは。
今となっては「そういうことか!!」と叫びたい
私には前世の記憶というものがある。
具体的に言うと、たった今教卓のあたりで騒いでいるうずまきナルトくんが主人公の少年漫画の記憶が、そりゃあもう最終回までキッチリと残っている。
鳴門はNARUTOだってか!そういうことか!!
チラリと顔を上げると、うずまきくんと仲良さげにしているうちはサスケくんや、窓際で頬杖をついている奈良シカマルくんが見えた。
また顔を伏せる。うー、サスケやっぱりイケメンだなー!いやそれどころじゃないんだけど!
あの人たちと関わりたくないだとか、付き合いたいとか、そんな願望はない。今のところは。
叶うならお話していただきたい。血継限界と血継淘汰と血継網羅の違いについて教えていただきたい。
しかし、目があったらにやけ…笑ってしまう自信がある。
なんてったって10年以上読み続けた漫画だ。無理だ。テンション上がる。私にとって彼らはピカチュウと同じだ。無理です握手してください。
顔を伏せたまま考える。
顔を上げるのは躊躇われるし、まだ着席していない人が多いので確かではないが、このクラスだけで3人いるのは確実だ。しかも木の葉のスリートップ。うわー勝てない。
別クラスや先輩方にもいるんだろうか。木の葉の人達だけなんだろうか。
彼らはただ似てるだけで、NARUTOキャラクターとは別人なんだろうか。
それとも私と同じように、二度目の人生を謳歌しているんだろうか。
何にしても厄介だと思う。あの外見なのだから。
「どーーしよ…」
小さく呟くと、自分が思っていたより低い声が出た。