(1/4)

疲れたと言って榮輝は勝手にボールへと戻っていってしまった。
勝手だなあと思いつつ、バトルの労をねぎらわないわけにはいかない。ずっと彼だけに戦わせていたのだから。ライラはそっと腰のボールをなでてから、カイトと別れて足早にコトキタウンに向かう。隣町であるここまではそう離れていなくて、あまり肉体的には疲れることなくたどり着くことができた。肉体的には。大切なことなので二度言っておく。



PCで榮輝を預け、トレーナーカードをジョーイさんに見せ、部屋を予約した。


ジョーイさんきれい!っていうか無料ってすごい……とかなんとか感動しつつロビーのソファーに腰かけていると。遠くから何かが耳に入ってきて、はたとライラの足が止まる。


うたが、きこえた。
綺麗で明るくて、初めて聞く不思議な旋律だった。



「……ません、すみません。あなたのポケモンの回復、終わりましたよ。」
「…!あ、す、すみません。ありがとうございます。」

あまりにも歌に集中しすぎて、周りがよく見えなくなっていた。


榮輝はボールでぐっすり眠っていた。



「あの、ジョーイさん、いま外で歌っているのはどなたですか?」


「……え?歌…?」

「聞こえませんか?綺麗なうたが、外の木の側から。」

「あら、それは人間じゃなくて、ポケモンよ。」

「え、でも………」



いいかけたところで、不意にボールから榮輝が出てきて、


私を 無 理 矢 理 抱えてポケモンセンターから 引 き ず り 出 し た 。




降〜ろ〜せ〜!!


『少し黙れそして痩せろ』
「余計なお世話!」



[戻る/しおりを挟む]
- ナノ -