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コトキタウンの人気のない、茂みの多いところで、榮輝はようやくライラをおろした。(というか 投 げ 出 し た 。)



うたが、近くになった。



「どうしたの?榮輝」

服についた土埃を払いながら、きいてみた。


『お前とことん危機感ないな。』

「?」


意味がわからない。

さっきポケモンセンターにいて、ジョーイさんに質問をしたことの、どこが悪いのか。



『危うく、お前がポケモンと話せるとバレちまうトコだったろーが。』



「あ……。」



ついついうたが気になって、それを忘れていた。


「ありがと、榮輝。」


そう言って頭を撫でると、やっぱり、

『ホント下手くそだな。嬉しくもなんともねぇ。』
と言われた。

…うううう泣くぞ泣くぞ!泣いてやる!
でもさっき心配してくれたあたり、優しいところもあるのかな。

『なにをニヤニヤしている。とっとと歌の正体突き止めて、 3 秒 で戻ってこい。』


え?
君は行かないんですか?
一人で行けと?


「榮輝…ついてきてよ。」

『あ?お前が気になってんのなら、お前が行け。なんか…動きたくない。』

にべもなく、素っ気なく、言われてしまった。
榮輝は気だるそうにまばたきしている。

だめだライラ!
こんなところで、パートナーと協力出来なくてどうする!
しっかりしろライラ!
はやく歌の正体突き止めたいんだよ!
にしてもホント綺麗な歌声……。
じゃなくて、


「お願い、榮輝。」


『………』

榮輝は無言、無表情。


「おーい、榮輝くーん」


シカトはやめてくれとばかりに、額を指でとん、とついた。


ドサッ


トレーナーには従わないが、重力には従い、榮輝は地面に倒れた。




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