秘密の恋愛 

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【side 朝海】


「ごめん、待った?」

「うーうん。でも逢いたかった!」

「可愛い奴。」


薄ら笑った後近づく哲也さんにそっと目を閉じる。

映画館スタッフ専用の駐車場。基本的に遅番マネージャーしか使用することのないこの地下の駐車場でならわざわざ隠れる必要なんてなかった。

明かりをつけることなく哲也さんの温もりを存分に感じる。

右手の薬指についている彼女とのペアリングは一度も外したことがないけど、あたしはこの関係でいいと思っていた。

そう…――――アイツに言われるまでは。




「…だる。」

「朝海ちゃん大丈夫?今日ずっと具合悪そうだけど。」


パートリーダーの大樹ちゃんがあたしを心配そうに見ている。

朝から食欲ないし気分もよくないし、ぶっちゃけ帰りたい。


「大樹ちゃん、うん…。帰りたい。」

「熱、あるの?俺送ってくよ。あがり時間まで待てる?」

「…うん待つ。送ってくれる?」

「もちろんだよ!」


笑顔をくれる大樹ちゃんの肩にコテっと寄り掛かった。

哲也さんは今日はオフシフト。平日の今日は彼女も仕事だろうし、何やってんだろ…。

場内チェックの為、劇場内に入って画面を確認する。

あー影できてるじゃん。誰だよ回してんの。

いったん外に出てカチっとシーバーを押した。


「フロア立花ですけど、PJ取れますか?」

【はい、PJ神谷です。】

「7番右上に影出てるので確認お願いします。」

【7番確認します。】


カミケンかぁ〜セットしたの。なんてボヤっと見ていたら急に右上の影がデカくなった。

ちょっと、しっかりしてよ!?

慌ててもう一度シーバーを取ろうとした時、ジーって音がして映像が途切れてしまった。


【PJ取れますか?片岡です。】


直人さんからのシーバーに【PJ神谷です。すいませんフィルムがからまりました。どうしたらいいっすか?】テンパってるのかカミケンの声が裏返っている。


【すぐいきます!今日はセクションリーダーいないの?】

【今日は今市さんが朝試写終わって帰られて遅番なんでえっと15時半入りです。】

【了解、ボックス取れますか?片岡です。】

【オフィス一ノ瀬です、岩田くん行かせますか?】

【お願いします!】

【了解です。】


ゆきみさんがボックスの岩ちゃんパイセンと変わって、岩ちゃんパイセンがPJのある階段を駆け上がっていくのが遠目に見えた。

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