買い出しと、掃除
結構早くに出たせいか、道も順調でお昼になる前にコテージについた。中で繋がっているコテージを2つ貸し切ってのこの一週間の旅行。夏の思い出にって、みんなで資金も積立してやっと実現した。
「買い出しと掃除と別れた方がいいよね?」
「そーだな。」
壱馬がみんなを呼び集めて説明する。若干ムカムカしているのか、またまこっちゃんの具合がよくなさそうに見えてちょっと心配。
「俺買い出し行くよ!」
陸が片手をあげると「あ、あたしも行く!」すぐに朝海も手を挙げた。ゆきみも、って言いたげな陸の視線になんて全く気づいていないゆきみだけど。だからか「朝海、花火いっぱい買ってきて!」なんて笑顔で言ったんだ。
「じゃあゆきみも一緒に買い出し行こうよ!」
「わたし行かないよ。準備遅いから。」
「そーいうこと。」
樹がゆきみの荷物を持ってコテージの2階に上がって行く。
「俺も買い出し行こうかな。掃除嫌いだし。」
言ったのはケンちゃんで。
「俺も荷物ぐらい持つわ。」
壱馬もそう言った。まこっちゃんはお留守番ね。
「じゃあ買い出しは4人でお願い!私達はある程度の掃除とか準備とかしておくから。」
「おー。なんかあったらすぐLINEしろな、マイコ。」
壱馬が軽く手を振る。その姿にまた小さくキュンとするなんて。結局のところ、壱馬を膝枕したことに気づいたのはケンちゃんだけで。まこっちゃんが起きる前に壱馬のが早く起きて、何事もなかったかのようにしている壱馬の気持ちが見えない。嫌われてはいないと思うものの、だからって好きだなんてそんなことは思わない。ゆきみや朝海にだって優しい壱馬だから自惚れたら自分が痛いだけだよね。
「マイコー。薬ある?」
「あ、うん。今お水持ってくるから待ってて。」
「うん、ありがとー。マイコが残ってくれてよかった、俺。ねぇ、ずっと傍にいてよ、俺の。」
…―――深い意味なんてないよね?
ソファーの上でまこっちゃんがこっちを見上げてそう言うから私はニッコリ笑って「仕方ないなぁー!」なんて答えた。軽い気持ちで。
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