VS壱馬

【said 慎】

唇に触れると、さっきのマイコの温もりが残っているような気さえした。やべえ俺、まじでマイコと…。


「おい慎?」
「へ?ああ、うん?」
「ボケっとすんな。」
「ね、壱馬さ。マイコのことどう思ってる?」


…俺の言葉に固まる壱馬。リーダー格な壱馬は何故か俺をよくよく可愛がっていて。勿論俺も壱馬が大好きだから仲良くしてるんだけど、なんとなく壱馬もマイコのこと好きなんじゃないなって思っていて。


「え、慎?」


ちょっと動揺しているように見える壱馬。やっぱりマイコのことになると、壱馬は少し動揺する。そんなことに気づいていながら気づかないフリをしていたけど…。


「俺、告ってもいい?」
「…マイコ、に?」
「ああ。俺、まじでマイコのこと、好きだから。」


俺に甘い壱馬だけど、マイコのことだけはきっと譲ってなんてくれないだろうって…


「好きにしろや。」


冗談だろ、拍子抜け。思わずキョトンとしたマヌケっ面を壱馬に浴びせる俺の帽子をコツっと叩いて軽く微笑む壱馬。


「まじでいいの?」
「………なんや、あかんて言うてほしいん?」
「いやそうじゃないけど。壱馬もマイコが好きなのかも?ってずっと思ってたから、そしたら俺堂々と戦おうって…。」
「好きなんやったらマイコに伝えたらええ。俺が慎のこと止める権利なんてないやろが。」


壱馬らしい言葉だなぁって。なんかやっぱかっこいいや、壱馬って。今の俺じゃ男として勝ててないかもしれない。けどマイコのこと好きだって気持ちだけは、壱馬にも誰にも負けらんねぇ。


「分かった、じゃあ遠慮なくいかせてもらう。」


俺の言葉に何も答えない壱馬だけど、やっぱりマイコを見つめるその視線は熱くて火傷しそうな気がするなんて。



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