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目が合って一秒。すぐにパッと逸らされる。その5秒後にもう一度目が合う。逸らせなくて1、2、3…とてつもなく長く感じる3秒が私にとっての幸せなひと時だった。

大人になると、ある程度の予測はできる。あの人はあの人のことが好きなんだろうなーと。自惚れているわけじゃないけど、こうしてよくよく目が合うのはそういうことなんじゃないだろうか。もちろんの事ながら私の気持ちは彼に一途。だけど、大人というのは面倒な生き物で。そこに100%の確信がないと前に進めない。…あ、これ私限定?周りのみんなは口を揃えて言うんだ。


「早く告っちゃいなよ!」


なんて。毎夜思い描く甘いひと時、そこにいるのはたった一人、彼だけ。


―――――恋が大きく動くのはそう、ハプニングが起きた時。


台風6号接近中の今日。ここ東京の街は大雨警報発令中だった。お昼を過ぎた頃には既に大雨と雷が街を激しく荒らしていて、定時間際、等々上から早く帰れ!って支持が出た所だった。


「ゆきみ、帰るぞ!」


そう言って私の隣のデスクに座っている同期のゆきみを迎えに来たのは同じく同期の直人くん。いいなー同棲してるからずーっと一緒にいられるよねぇ。私も一緒に帰りたーい、なんて彼、岩田くんに視線を向けたら、彼も私に同じように視線を飛ばしていたのか、目が合った。
…1、2、3、これ以上無理。


「雨、すごいね。」

「うん。あ、一緒に帰りませんか?途中まで。」


まさかの誘いに思わずテンションがあがる。内心大きなガッツポーズ。岩田くんが一緒なんて嬉しすぎ、台風ありがとう。私は迷うことなく「うん!」頷いた。

結局、ゆきみと直人くんと岩田くんと私の4人で会社を出た。


「岩ちゃん、絵未のことよろしくお願いしますね?」

「岩ちゃんとこ泊まった方がよくない?近いよね、岩ちゃん確か二駅だっけ?」


ゆきみと直人くんのナイスフォローもあったけど、さすがに私もそれは照れる。付き合ってもいない後輩の家に泊まるだなんて。


「あ、僕は全然いいです!むしろそうしてもらった方が心配はありませんし。」


…え、え?なんだと?


「いやいやいやそんなご迷惑はかけられないって!」

「迷惑なんて思ってないですよ。」


ニコッて微笑む岩田くんにノックアウトされそう。いいの?行っても。


「あ、警戒してますか?」

「…え、あの。」

「はは、絵未さんの意思なしでは何もしませんから、安心してください。」


…やばいやばい、岩田くんのペースに持ってかれそう。私、どうしたらいいの?



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