水頼り




「そんな簡単にいかないんじゃない?相手はカカシ。いくらサスケでもねぇ...自慢の弟には勝って欲しい所だけどね」


また " カカシ "
内容はもうどうだって良かった
アイツの強さは昨晩興奮気味の姉さんから
嫌という程聞かされた

姉さんがはたけカカシと親しく楽し気に
話す姿を頭に浮かべただけで虫酸が走る


只の酷い嫉妬だ

あんまり男の名前を発言をして欲しくない


「ふふ、サスケ怖い顔してるよ?お箸も止まってるし...早くしないと初日から遅刻なんて嫌でしょう」


への字に口が歪みきっていたが其れを直し
次々に美味そうな料理を口へ運んで行く

「矢っ張姉さんの作る料理は美味いよ、一番美味い」

「叔母さんには及ばないけどね、サスケが満足してくれてるなら良かった


私 もっともっと腕磨くからっ 」


姉さんの立場からした " 叔母 "
其れは俺の母を指していた。
俺の母を口に出す姉さんは笑っていたけど
何処となく其れは切な気で辛そうに見えた


「やっと一歩、...足元にも及ばないかもしれないが俺はあの男に近付いた」


" あの男 " というワードを出しただけで
姉さんの肩が微かに揺れたのを俺は
見逃さなかった

「サスケ、まだアンタは...」

「俺は辛かった、あの男によってどん底に突き落とされた。姉さんだってそうだろ?同じ気持ちな筈だ。もう無理に笑ってる姉さんの笑顔は見たくねェ、アイツを殺し復讐を成し遂げ...アンタの本当の笑顔を見たい」



『俺が守るから . 一生を懸けて』



俺の言葉は勿論姉さんのことを想って
口走った言葉
でも心の何処か、奥底では己に
言い聞かせている自分も居た

俺の発言により互いは無言になり朝から
何とも言えない居心地の悪く重たい空気を
俺を作ってしまった

その沈黙をいい事に利用し次々に箸を進ませ
全てを腹の底へ収めると箸を置き改めて
姉さんに向き直った


俺は今どんな眼をしている?


姉さんは改まる俺に戸惑いを見せ
困り果てた表情をし眉を八の字にさせた


...でも、ほら。

又そうやって笑顔を作る

バレバレだっての。
俺は知ってるんだぜ?アンタの
本当の笑顔を。
この365日間、太陽は休む事無く俺達の
前に姿を現す。だが、俺は姉さんの笑顔が
何よりも輝いているように見えるんだ


「バーカ、この先ずっと守り抜くのは私。サスケは何も気にしなくていいの、大丈夫だから」


そう言って俺の頬を人差し指でツンとつく

今日も姉さんは憎き兄の話を流し切った

イタチ...俺は本当にアンタが嫌いだ
アンタは俺から一体どれ程の大切な物を
奪えば気が済む?

「食べ終わったなら顔洗って用意しておいで、後は私が片付けておくから」

俺の皿を重ねキッチンへと足を運んで行く

リビングに一人孤立化してしまった俺は
決していい気になれずままリビングを
後にし洗面所へと向かった


そして嫌でも映る鏡の中の自分を見つめる

俺の野望はあの男を殺す事
此の野望はきっと..いや。絶対に果たすまで
此の気持ちは消えないし変わらない

そして贅沢が許されるのなら
俺は将来姉さんの...

「フン..」

自分でも自分に対して可笑しに思う
思わず鼻を鳴らしてしまった
こんなの姉さんが聞いたらバカにされる


吹っ切れた俺は蛇口を捻り何度も何度も
水を顔に掛けた




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