24/2.
……それが、今アタシの真っ白な頭で考え得る。
精一杯の、回避だった。
「……ほう。」
『た…試しに飲んでみたいお酒があって……』
「お前は酒に強くないだろう。それこそ仕事付き合いで飲む程度のはず……自分からわざわざ、酒を買って飲んだのか…?」
『ちょ、ちょっとでもお酒に慣れておきたくて……すぐ酔いつぶれちゃうようじゃ、お得意さんの相手も長く務まらないで、しょ…?』
「……で、飲んだら…シたくなったのか。」
『ちょ、ちょっとのつもりだったんだけど……わりと度数強くて…か、体がぽわってしちゃって……結局、そのあと最後まで……。』
「…………。」
ついには聞いてくることもしなくなった伯父。
アタシはもう恥ずかしさで、頭がどうにかなりそうだった。
だけど仮にこれが理由なら、さっきから散々切り出せずに渋っていたことにも合点がいくはず。
『ぐ、偶然なの!携帯もほら、マナーモードにしっぱなしで……き、気づいて起きたのがついさっきで、お風呂も入ってなかったからそのあとも一時間くらい音信不通で、』
「自分一人だけ気持ちよくなったのか。」
………え……?
途端アタシは、冷水を頭から被ったように身震いし、固まった。
そうして恥ずかしくて上げられなかった顔で、ゆっくり伯父へと視線を向ける。
伯父のそれは、車の中での威圧的な表情に戻っていた。
「俺と会うその日に。俺がシてやる前に、お前は一人でイッたのか。」
『っ……!!』
耳元に、生暖かい吐息がかかる。
伯父の手が触れている乳房に、次第に爪が食い込んでいく。
……アタシはこのとき、伯父を完全に怒らせたのだ。
ガッ!!
『っあ、』
そのままソファに突き飛ばされれば、伯父はがっちりアタシを組み敷く。
アタシの上で早急に上着を投げ捨て、片手でネクタイを緩め……順よく衣服のボタンをはずしていく。
すべてが終われば、アタシの肩に両手をつき、比重がかかった。
アタシが大嫌いな車輪の目に、真っ赤になったアタシが映っている。
―『ふふっ…なんか今日のイタチ、猫みたいだったよね。』―
―『イタチにはあんな風に、もっと自由でいてほしいなぁ……。』―
―――ごめん、イタチ……。
「今日は痛くするぞ、name……。」
自由に生きるって、やっぱりちょっと難しいよね。
赤い目の情事、開幕この日もまた、アタシは伯父に犯された。
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