11.試練[元彼真麻]
身体に気怠い怠さを感じながら、ヒロインは塔の三階へと進む。
同じ様な西洋の家具が立ち並ぶ高価な雰囲気の部屋をいくつも移動し、次の階段へと続く部屋を探す。
「順番からいえば…シルがいる筈だわ…」
レンア姫をさらった一人、シルの力はヒロインも良く分かっていた。
圧倒的な強さを誇るシルにあまり会いたくないと思いつつ、ヒロインは部屋の扉を開ける。
やはりそこにも上へと続く階段はあるが、シルはおろか、誰の姿もない。
「…やだ、私…期待、してたの…?」
誰もいない事に、やけにガッカリとしている自分の心に驚くヒロイン。
先程から疼く、身体の火照りや熱さをどうにかしてほしい、ヒロインは心の奥底でそう思ってしまっていた。
「ダメ、私はレンア姫を助けるのよ。そして…家に帰る。…もう、家に帰って早くぐっすり眠りたい…」
家のフカフカのベッドが恋しいと、ヒロインは思い剣の鞘を握る。
「この最上階には絶対レンア姫がいる。そして、カイやシルも。…必ず倒して、レンア姫を助ける」
自分にそう強く言い聞かせると、ヒロインは階段へと足を進める。
すると、先程まで無かったものが急に現れ、ヒロインの目の前を立ち塞がる。
「熱っ!何これ、なんで急に火が…?」
階段とヒロインの前を、激しい炎が塞いでいた。
「…そうだわ」
何か閃いたヒロインは、水のイメージを頭に浮かべる。
すると、スッと波となった水が現れ、ヒロインの身体を一瞬包み、あっという間に水の防具へと変化させていた。
「ウォーターホウ!」
ヒロインの手の中から水の泡が現れ、炎へと向かっていく。
泡はそのまま炎を包み込み、スーッと炎を消し去っていった。
「やった!」
喜ぶヒロインの前に、炎の後から一人の男性が姿を現していた。
「…ヒロイン」
「!真麻…?!な、なんで真麻が…?」
それは、ヒロインの元彼である真麻だった。
ヒロインも真麻もお互いを大切にし、付き合っていた。
だが、真麻の仕事が忙しく、自分より仕事を優先させる彼に不安が募り、ヒロインの方から振ってしまっていた。
「ヒロインに会う為に来たんだ」
真麻は優しく微笑むと、ヒロインへと歩み寄る。
ヒロインは一歩下がり、キッと真麻を睨む。
「もう貴方とは終わったの!あの時ちゃんと別れたじゃない!今更何…んっ!」
ヒロインの怒りなど全く気にしてないのか、真麻はそのままヒロインを引き寄せキスをする。
(真麻の筈ないわ…この世界に彼がいるわけないもの…!)
ヒロインは両手で真麻の肩を掴み、抵抗の意志を見せる。
「真麻…ん、いや!あんたは偽者…!」
「ヒロイン…俺を受け入れて…」
「んんっ!ん、ぅ…っ」
必死に真麻の両肩を押すが、ビクとも動かない。
力で女が男に勝とうとするのは、かなり無理な話であった。
真麻はヒロインの抵抗を物ともせず、彼女の唇を味わいながら、ヒロインの水の防具の貝のブローチに手を伸ばす。
「や…っ!」
真麻は嫌々と首を振るヒロインの舌を吸い上げながら、ヒロインの乳首を守る貝のブローチをいとも簡単に外してしまった。
「…綺麗だ。久しぶりに見たけど…本当に綺麗だよ、ヒロイン」
ヒロインの露わになった乳房と乳首を見て、真麻は優しく微笑みながら言う。
それは、ヒロインが好きになった真麻の優しい微笑みそのものであった。
(ダメ…ダメよ自分。こいつは偽者…信じちゃダメ…)
ヒロインは自分に負けじと、真麻をキッと睨む。
それを見て、真麻はフッと笑う。
そして、そのまま頭を下げるとヒロインの左の乳首にいきなり吸い付いていた。
「いやあっ!!」
ヒロインは真麻の頭を押さえ、跳ね除けようとした。
が、真麻の力の方が強く、口の中に入った左の乳首をちゅうちゅう吸い上げていた。
「あんっ!あ…っ」
乳首から伝わる甘い痺れに、ヒロインは思わず声を上げてしまい、ハッとなる。
「…可愛いな。ヒロインの声、久しぶりに聞いた。もっと聞かせて、俺の可愛いヒロイン…」
甘い真麻の言葉に、思わずビクッとなるヒロイン。
(ダメ、こいつは真麻じゃない。偽者よ、真麻じゃない…)
ヒロインは何度も自分にそう言い聞かせるが、そんな気持ちは打ち消されそうになる。
真麻は、左の乳首を引き抜くと右の乳首へと移動し、口に含みちゅうっと吸う。
唾液で濡れた左の乳首を人差し指と親指で摘み、クニクニと捻る。
「ああんっ!あんっ、いやあ…ぁっ」
ヒロインは嫌々と言いながらも、声は徐々に甘いものへと変化していた。
我慢していた疼きが満たされていき、官能の渦が全身に駆け巡っていく。
右の乳首を口の中に含みながら、真麻はペロペロと乳頭を舌先で細かく弾き、左の乳首も捻りながら上へと引っ張っていく。
「はあぁん…っ!(ああ…っ、真麻の愛撫ってこうだった…いつも優しく、気持ち良くしてくれた…)」
あまりの強い快楽は、真麻との甘い時間を思い出させていく。
真麻の愛撫は容赦なく続き、彼は右の乳房の根元を掴み、ぎゅっと力を込める。
すると、乳首が自分の方へと突き出る為、そのままチロチロと乳頭を突いていく。
そして、乳首を指の間に挟み、左の乳房をぐにゅぐにゅと揉んでいく。
「ああんっ、んっ、あんっ、はぁん」
ヒロインの甘い声と共に、両方の乳首はピンッと硬く尖ってしまっていた。
「ヒロイン、乳首が凄く硬いよ、どうして…?」
真麻はそう呟くと、両方の乳首を指で摘み、スリスリと擦る。
「はあぁん、んっ…だ、ってぇ…」
「ふふ、本当に…君は可愛いな。俺、どうして君を放っておいたんだろ。仕事ばかりで…馬鹿だったな」
「!真麻…」
真麻の言葉に、ヒロインは別れた時の彼の言葉を思い出す。
『俺は…本気で君の事が好きだ。だからこそ…仕事よりも君を優先したいと思ってる。けど…俺の都合をいつも君が聞いてくれてたから…正直、それに甘えてた。…ごめんな』
ヒロインを玄関で押し倒した時、真麻は悲しそうにそう言っていた。
(真麻…今でもそんな風に思ってくれていたの…?)
ヒロインが考え込んでいると、真麻は乳首から離れ、彼女の目の前に顔を上げる。
「ヒロイン…君にもっと触れたい…」
「真麻…んっ…」
真麻は再び、ヒロインに甘いキスをする。
抵抗する事なく、ヒロインも真麻の入り込む舌を受け入れる。
(ごめんなさい、レンア姫…今だけ、彼との時間を下さい…)
真麻の愛撫に染まったヒロインは、彼を受け入れようと背中に手を回す。
彼女の行動に、真麻は更に舌を激しく掻き乱しながら、首元の珊瑚の飾りを取り外し、そのままケープを肩から外してしまった。
そして、そのまま左の乳房に指を食い込ませ、その柔らかい感触を楽しむように円を描きながら揉んでいく。
「あっ…ん。ん…は、ん…」
真麻の舌はヒロインの舌を捕らえて離さず、レロレロと絡ませ合う。
乳房を揉みながら、指先を伸ばしその先にある硬い乳首をスッと横に撫でると、ヒロインがビクンと身体を跳ねさせる。
「はぁんっ!…んっ」
「ヒロイン…」
長いキスを終えると、真麻はヒロインを見つめる。
「俺を…受け入れて欲しい…」
「真麻…うん…お願い、私を抱いて…っ」
ヒロインは真麻を見つめ、懇願する様に答える。
「ヒロイン…ッ」
頬を染めた真麻は、そのまま再び顔を下げ、左の乳首に吸い付き、ちゅううっと音を立てる。
そして、右の乳房を激しく捏ねまわし、硬い乳首を人差し指で弾いていく。
「はあぁんっ!ああんっ」
ヒロインは大きく喘ぎ、そのまま首を仰け反らせる。
真麻は、空いている左手をヒロインの水で出来た巻きスカートの中へと指を這わしていく。
黒い下着に指をかけ、器用に膝下まで下ろしてしまうと、露わになったそこへ直に指を這わす。
「あっ、やぁ…やあんっ」
ビクッとなるヒロインだが、真麻はもう止まらない。
真麻の細く長い指が触れると、そこは快楽の蜜で溢れていた。
「ヒロイン…凄い濡れててびっしょりだよ?」
「やあ…言わないで…っ」
恥ずかしい事を言われ、ヒロインは嫌々と首を横に振る。
「ふふ…ほんと、可愛いなヒロインは…」
真麻は乳首を吸い、指で摘み、蜜溢れる入り口を、蜜をすくい上げる様に指先でなぞっていく。
「あぁんっ。はあぁんっ」
真麻の甘く優しい愛撫に、ヒロインは大きく声を上げる。
(真麻…して…もっとして…っ)
ヒロインはそう願わずにはいられない。
その願い通り、真麻は蜜の入り口に指を当て、そのままグチュリと音を立て指を挿入させていく。
「はぁんっ!」
「ヒロインの中、凄い熱いよ…」
真麻の指が、膣の中で上下に擦る様に動き、乳首もちゅうっと吸われる。
「はあぁんっ、あぁんっ」
真麻に掴まりながら、ヒロインは喘ぐ。
掴まっていないと、倒れてしまいそうなほどの快楽であった。
真麻は、ヒロインの膣の中から指を引き抜くと、彼女の腰を持ち床に座らせる。
「ヒロイン、脚、開いて…?」
「っ、やあ…真麻…っ」
ヒロインがトロンとした瞳で真麻を見つめていても、彼はそのまま彼女の膝を持ち、ぐいっと大きく開かせてしまう。
蜜口が開き、クチュッといやらしい音を立てていた。
「やだぁ真麻…っ、見ないで…っ」
「どうして?凄く綺麗だよ…?…ヒロイン…愛してる…」
「真麻…っんっ、ああん!」
真麻の顔がスカートをたくし上げ、脚の間に埋まると、舌先でチロチロと蜜を舐め上げる。
ザラリとした舌の感覚が心地よく、入り口を刺激する為舌先を尖らせ、ツツツと突いていく。
「はあぁあん!あんっ、あんっ」
身体をビクッと震わせながら、ヒロインは喘ぐ。
久しぶりに味わうクンニは、身体がおかしくなるくらい強い快楽を呼び起こさせていた。
真麻の右手が左の乳房を掴み、円を描くように揉みながら、蜜の入り口を舌全体でペロリと舐め上げる。
「あぁあんっ、はあんっ」
「ん、ちゅ…ヒロイン…君の蜜甘くて美味しい…最高だよ…ん」
真麻は乳首を摘みコリコリと捻りながら、入り口の上でその存在を露わにさせた突起を見つけると、舌全体で当てながらゆっくりと舐め上げる。
「はあぁんっ!あんっ!」
「ん…ここが好きなんだよね、ヒロインは…」
ヒロインが一番感じる突起、クリを尖った舌先でツンツンと突いていく。
「あぁあんっ、あぁん。イイの…っん。そこが…っ」
「良い子だよ、ヒロイン…ん、ちゅうっ」
真麻がクリを素早くツツツと突くと、そのまま唇に挟みちゅうっと吸い上げる。
「ああんっ!あんっ、あぁあんっ!真麻…あぁんっ」
快楽はすでに限界まで達しており、ヒロインの身体が震え始めていた。
ヒロインがイきそうな事が分かると、真麻は脚の間から顔を上げ、そのまま左の乳首に吸い付き、根元から先端へと唇で乳首の形を沿うように擦る。
「はあぁん」
そして、左手はクリに当てられ、舌で愛撫したそこを撫でるように擦っていく。
「あぁあんっ、ああん」
そして、右手をヒロインの背に回し、横から彼女の右の乳房を掴み、指先で乳首を押さえながら揉み込む。
「あぁんっ、あんっ、あん。真麻…ダメっ…だめぇ…」
あっという間に快楽の頂点へと登りつめてしまいそうになり、ヒロインは思わず首を振る。
「ヒロイン…イっていいよ…ん、ちゅ」
真麻は乳首を吸い、指で転がし、そしてクリを押さえ素早く指を動かし、その振動をクリに送る。
三つの刺激に、ヒロインはそのまま首を大きく仰け反らさせた。
「あぁんだめぇっ、イく…イっちゃ…はあぁんっ、あぁああんっ!」
ビクンビクンと、ヒロインの声と共に身体が大きく震え、脚は力を失いガクンとなった。
快楽となった電気が身体中を駆け巡り終わると、ヒロインは瞼を開ける。
「はあ…真麻…」
目の前にいる筈の真麻は、そこにはいなかった。
「嘘でしょ…?真麻…!?」
ヒロインが呼んでも振り向いても、真麻の姿は見えず、声も上がらない。
「そんな…真麻…っ。うぅ…っ、ひっく…真麻と、したかったのに…っ」
イったヒロインの身体は、激しく真麻を求め疼いていた。
そんな彼女の身体を光が包み、いつもの防具へと戻していた。
やはり、何事もなかったかの様に。
「真麻…っ、帰れたら…会いたい…会いたいよ…っ」
優しく愛してくれた元彼真麻を想い、ヒロインは暫くその場で涙を流すのであった。
「ちっ…」
一方、塔の最上階では、黒い髪の美青年カイが、顔を歪ませ舌打ちしていた。
「カイ、貴方があれ程夢中になるとは驚きですよ」
弟の様子を見て、兄シルは冷静に言った。
「…何故止めた、兄さん」
兄を鋭い瞳で見やり、弟は言葉を放つ。
「止めなければ、貴方はあのままヒロインの中に挿れていたでしょう?」
「ッ…そうすれば、あの女はもう用無しになれた!」
弟の今までにない強い言葉に、兄は何かを感じ取る。
「…カイ、やはり貴方もヒロインを抱きたかったのですね」
シルに図星を言われ、カイは彼に背を向ける。
「…あの女を見ていたら、何故か愛おしくてたまらなくなった。ちっ…自分でも分からん」
先程ヒロインを抱いた感覚がカイの中に残り、彼は頬を赤く染める。
「それほど、彼女は魅力的なのですよ。…ヒロインは、カイが変身した元の彼氏を本物だと思い、達してしまった。…そろそろ、身体の疼きも限界でしょう」
「…」
シルの言葉に、カイは黙ったまま前方の階段を見つめる。
彼女があそこまで辿り着くことが出来るか、全てはそれにかかっていたー。
前 | 戻 | 次