01
もっと早く駆けつけていれば、もっと早く医務室に運べていたら。いくら考えたって仕方のない後悔がぐるぐると頭の中を支配する。
硝子の向こうの彼女は、管につながれてまるで死んでしまったのではと錯覚するぐらいに、静かに静かに眠っている。出水は目を閉じて、彼女の名を呟く。
「・・キリ、」
頼むから、早く目を覚ましてくれ。
帰国そうそう玉狛がーーというより玉狛の迅悠一がなにやらごたごたを持ってきたらしく、会議詰めとなってしまった。
結局、解放されたのは迅の黒トリガーと引き換えに空閑遊真という人物の入隊が決定されたという事が決まってからだった。
どうせなら早く帰って、あのぎゃんぎゃん声で怒られようかと立ち上がった時に、忍田に呼び止められる。
「唐沢さん」
「おや忍田さん、なにか?」
また頬が緩んでいたかな、と顔を少し引き締めて彼を見やれば、どことなく気まずそうな彼と目が合う。隣の沢村もどことなくぎこちない。
「実は、キリちゃんが・・」
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