01
「うー・・ん」
着慣れない制服に、キリは洗面所の鏡とにらめっこする。
「何度見ても映るものは変わりませんが」
視界の端に現れた唐沢を鏡越しに睨む。相変らずからかうような笑みを張り付けたその顔にキリはイライラした。
「うっさい、そんなの分かってるわよ」
「まぁ、でも・・似合うとは思いますよ」
そう言って彼はぽんぽんとキリの頭を撫でる。
「〜〜っ! 子供扱いすんな!」
「はいはい、分かったからもう出ますよ」
「あー、もう! 聞け!」
ついに迎えてしまった月曜日。不慣れな制服に身を包んだキリは緊張でぐるぐるする脳内を整理しつつ、唐沢の隣を歩く。
唐沢は保護者代理、そしてボーダー組織として校長にキリの事を説明するらしい。
(・・どうしよう、ぜんぜん打ち解けなくて一人になったりしたら・・)
もんもんとそんな事を考えていれば、不意に隣の唐沢が笑った。
「城戸さんの前ではあんな態度取ってたクセして転校は緊張するんです?」
「う、う・・うるさい、緊張なんか・・」
と、言いつつ手は少し震えている。それを見抜いたのか、からかい気味にこちらを見る唐沢をキリは睨んだ。やはり、この男は気に食わない。
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