これの続き。





「…っ、せん、せ…!」

「君はいつまで経ってもそう呼ぶね」


――まあ、ある種興奮するけど。

そう言って首筋に緩く噛み付いた。

月宮林檎の暮らす部屋。明かりを灯されない部屋。暗い筈のその部屋は仄かに光が見える。大きな窓ガラスの向こうには月。その下に輝くは帯状に連なる赤…車のライトや建物のネオンサインが煌めいていた。その光景に、ほうと感嘆の息を吐いた春歌は唐突に腕を捕まえられてベッドルームへと引かれた。目の前で揺れる髪は、先程のような長い髪ではない。いつの間にやらウィッグも、メイクも取り払った月宮林檎がそこにいた。
春歌の驚き慌てる声。頬を真っ赤に染めて眉を下げ、大きな瞳にはうっすら涙が浮かんでいて。その様に林檎は笑みを溢す。何度か、抱いた。それでも処女のような初な反応は変わることはなくて。無意識に背中がぞくりとする。これは、きっと、


(…征服欲、だな…)


寝台に腰を下ろして、自らの腿を跨がせる。軽い重さが心地好かった。
春歌の座高が少し高くなって、無防備にも喉元が林檎の前に晒される。

そして、冒頭。

首筋を甘噛みして、時に舌先で擽る。ブティックで見立てたワンピースの裾から悪戯な手を忍ばせて背中を撫でれば、快楽の波に呑まれ始めた小さな身体が揺れた。


「この服、すごく似合ってる…脱がすの勿体無い気もするな」

「ふ…ぁ、」

「ねえ、着たまましたい?それとも脱がせてあげようか」


熱っぽい声でそう囁いて。卑猥な手付きで、今度は内腿を擦る。柔らかいそこに指が沈んだ。


「ぁ、…つきみ、や、せんせ…っ 」

「ふふっ…なーに?」


下着のラインギリギリを撫でる手は止まらず。春歌の、捩るように控えめに動き出した腰に、さも楽しそうに口角を上げた。


「も、う…私…っ」

「何?ちゃんと言わなきゃわからない」


わかってる。どうして欲しいのかなんて。
ただ鼓膜が蕩けるような、全身が沸騰するような、甘い希求が欲しいだけ。


「……この、ままで…いいです……だから…も……さわっ、て」


必死の懇願に涼しく、何処を?と林檎は問う。春歌が眉を下げて、瞬けば大きな瞳からは涙が溢れる。それは頬を伝って行った。顎の方から、掬い取るように。林檎の生暖かい舌がそれを舐めた。
その後、観念したように、目の前の男に教えられた卑猥な言葉を並べれば、その瞬間、

――始まる激しくも甘い、夜。



WhiSPer 2
(今夜は離してあげないよ)




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