00 未明の王宮
まるで凪いだ海の様な白い砂漠に、その国は在った
美しく磨かれた大理石の白い王宮
その最奥の部屋は、夜の砂漠の冷気を微塵も感じさせぬほどの熱を秘めていた
「王よ、どうか、どうかお情けを…!」
女は豪奢な寝台に、その豊満な肢体を曝け出し、目の前の男に縋りつく
上等なシルクには零れ落ちんばかりの宝石の意匠。それらを肌蹴させた姿には、誰もが唾を飲み込むであろう
しかし、彼女を組み敷く男──国王、バジル・ホーキンスには
その姿に欲情する素振りなど見せない
彼女の纏うどの宝石より美しい、血赤珊瑚の瞳は夜の砂漠よりも冷たかった
背に回された手を煩わしそうに振りほどき
夜の帳が、落ちた