Darlin' | ナノ


Smile(1/3)

昔から、何を考えてるのか分からない、とよく言われた。


感情があまり顔に出ないのも、その原因となっているのは分かってる。


だけど、気が付いた時には「こう」だったのを、どうすれば良いのかなんて知らない。


そのうちに、周囲の声がただの雑音にしか聞こえなくなった。


『アレ』は俺の求めている音楽じゃない。


そう割り切ってきた。


だから、みのりの言葉は本当に意外だったんだ。


同じ歌番組に出演するみのりが、JADEの控え室にあいさつに来て談笑している時のコト。


「神堂さん、最近よく笑ってますよね」


「え?」


「ッゲホッ!………ゴ、ゴホ………」


ソファに座ってペットボトルのお茶を口にしていた冬馬が、思い切りむせる。


部屋の奥で曲のアレンジについてああだこうだと言い合っていた夏輝と秋羅も、呆気にとられたようにみのりを見ている。


「…………………」


俺も自分が表情豊かだとは思わないが、お前らのそのリアクションもないんじゃないか?


さすがに憮然とする。


「……わら、う?」


「みのりちゃん。今、春がよく笑うって……言った?」


夏輝がソファのみのりの向かい、冬馬の隣に腰を下ろしながら、確認するように繰り返した。


………そんなに信じられないか。


だが、みのりは満面の笑顔を浮かべて大きく頷いた。


「ええ、何ていうか……神堂さんの笑顔って、ふんわり暖かくなるんですよね」


夏輝たちが、既に言葉もなくフリーズしているのも何のその。


みのりがふんわりと微笑む。


見た者を暖かく包み込むような、極上の笑み。


みのりは無意識だろうが、秋羅と冬馬はわざとらしく目をそらした。


その上、夏輝に至っては顔を赤くして視線を泳がせている。


…………ものすごく、面白くない。








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