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ぬくもりに染まる夜(1/4)



今夜は、夏輝さんのマンションで、久しぶりにお家デートの約束をしていた



だけど、先に仕事が終わったのは私の方で



(うーん、どうしようかな‥‥)



バラエティ番組の仕事で訪れたテレビ局



その収録後の楽屋で、携帯電話を片手に悩む事数分



「あ、そうだ!」



夏輝さんの仕事が終わるまで、どこかで時間をつぶそうかと考えていた私の頭の中にふと、ある考えが閃いた



「ふふ‥‥夏輝さん、喜んでくれるかな」



いそいそとバッグの中から取り出したのは、以前夏輝さんからプレゼントされた、マンションの合い鍵



「キレイ‥‥」



それを目線の高さに掲げて眺めていると、どんどん頬が熱くなってきて、私はその鍵をギュッと握りしめる



この無機質な冷たい鍵は、今や私にとって何よりも大切なお守りになっていた









――――この鍵を渡された時



その時の夏輝さんとのやり取りを思い出すと、今でも切ないくらいに胸が高鳴る




夏輝さんの部屋にお泊りした翌日の、オフの日の朝



朝食の後片付けを終えて二人でくつろいでいた時、夏輝さんが差し出したのが、この鍵だった






『そんな大事な物、本当に私がもらっていいんですか?』



『もちろん‥‥‥それともみのりちゃんは、俺のなんて欲しくない?』



サラっと軽く言われて、途端に私の頬が紅潮する



『そ、そんな事言ってないじゃないですか!』



『ん、素直でよろしい』



『な‥‥っ!』



唖然とする私に、夏輝さんは悪戯っぽく笑いながら頷いた



『‥‥もう、夏輝さんの意地悪っ』



『はは、ゴメンゴメン‥‥ねあ、そんなに怒らないでよ』



『怒ってなんかないですよ‥‥きゃっ』



背中を向けていた私の体をくるんと回転させて



夏輝さんの唇が、ちゅっと音を立てて私のそれに触れる



『ねえ、どうしたら機嫌直してくれる?』



私はその問いには答えずに、夏輝さんの首に腕を回した



『―――――』



『え?』



されるままになっていた夏輝さんは、声にならない私の囁きにフッと微笑んで胸に手を当てた



『では、お姫様の仰せの通りに』



『!? そんな、私は‥‥‥んん‥‥っ』



反論もむなしく



私は、甘い夏輝さんの熱い唇に翻弄されていく



僅かに覚えているのは、感情のままに掻き抱いた、夏輝さんの髪の柔らかさだけだった





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