二人で紡ぐ未来へ(1/5)
「Message」
ミヨの為に書いて、そのまま封印した詞。
あの日の俺は、『今日』が来る事なんて想像すら出来なかった。
ついさっきまでの熱狂がウソみたいに、ライトの落とされたステージはシン、と静まり返っている。
久しぶりのライブで、メンバーもファンも思いっきり盛り上がった。
もちろん、俺自身も。
汗もまだ完全には引いてなかったけど、俺の心の中は意外なほどスッキリしていた。
初めて……だったから。
これまで俺の思い出の中のミヨは、いつも淋しそうな、悲しそうな顔ばかりしていたのにー。
今、彼女は、満面の笑みを浮かべて俺を見てる。
俺は「あの日」の夜空に似た、ライブハウスの真っ暗な天井を見上げた。
だけど、今日はあの日とは違う。
だって。
ふっと視線を感じて、ゆっくりと首を巡らせる。
ステージ袖の闇の中に、きみの姿が見えた。
「みのりちゃんー?」
→
[←] [→] [back to top]
|