二人で紡ぐ未来へ(2/5)
「みのりちゃん−?」
自分でも知らないうちに、微笑っていた。
「夏輝さん」
彼女は俺の名前を呼ぶと、ゆっくりと近づいてくる。
ああ、みのりちゃんも今回のライブに来てほしいと思った俺の気持ちに、ちゃんと気付いてくれたんだ。
「待たせてゴメンね。……行こうか」
俺は座り込んでいたステージから立ち上がり、俺の傍までやって来たみのりちゃんの手をとって歩き出した。
他のメンバーやスタッフ達はもう帰ってしまったようで、控え室はひどく静かだった。
たぶん気を使ってくれたんだろう、黙って二人きりにしてくれたメンバーにも心の中で感謝しておく。
さっきまで交わしていたキスの余韻が残っているのか、腰を抱き寄せているみのりちゃんの体は普段よりも熱く感じた。
「まだ時間は平気?」
わざと耳元で小さくささやくと、みのりちゃんの顔が目に見えて赤くなった。
何か言い返そうとするものの、結局唇を噛み締めてソッポを向くいてしまう。
「…プッ。………顔、真っ赤だよ?」
「〜〜夏輝さんの、イジワル…!」
もう幾度となく肌を重ねていても、付き合い始めの頃みたいな反応は変わらない。
そんな様子がかわいくて、ついクスクスと笑いが込み上げる。
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