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狼少年とキスの法則(1/5)

「よし、これで朝ごはんの準備も完了っと‥‥そしたら後は‥‥」



お互い忙しいスケジュールを何とか調整して、冬馬さんのマンションにお泊まりした翌朝



私は身支度と朝食の支度を済ませてから、ベッドルームに向かった







カチャリ‥‥


音を立てないようにドアを閉めて、冬馬さんの寝室のベッドの端にそっと腰を下ろす



さっきまで私も一緒に眠っていた、キングサイズの大きなベッド



そこで静かな寝息を立てている冬馬さんの顔を、そっと覗き込んだ



(あ、睫毛長い‥‥やっぱり整った顔してるなあ)



上掛けから少しだけ覗いている指先も、私よりもずっと大きくて太い



それは、冬馬さんがJADEのドラマーとして努力してきた証であり



私にたくさんの『初めて』を教えてくれた、大人の男の人の手だ



一見武骨にも見えるその手は、私に触れる時には驚くほど優しく甘くなる







『みのりのその顔、凄く可愛い‥‥‥そそられるな』







「あ‥‥」



不意に夕べ耳元で囁かれた言葉が思い出されて胸がトクン、と高鳴った



(や、やだ私ったら‥‥あ、そうだ!)



この部屋に来た目的を思い出して、私は熱くなった頬を仰ぎながら体を屈める



「冬馬さん、冬馬さん? そろそろ起きて下さい」



「‥‥‥みのり? うーん、もう少しだけ‥‥」



ゆっくり身じろぎしながら冬馬さんが言うのに、私はさっきの照れ隠しもあって上掛けをバサッと引き剥がした



「う、うわっ!? みのり!?」



「ダメです! 遅刻したら、神堂さん達に怒られちゃいますよ?」



すると冬馬さんは、ようやくベッドの上に上半身を起こして気だるそうに髪を掻き上げた



「ふうん、みのりは俺より春達の味方するんだ?」



まっすぐに私を見つめる目には、どこか拗ねたような光が浮かんでいる



「え!? み、味方だなんて! 私はそんなつもりじゃ‥‥」



思わぬ言葉に、慌てて首を振って全力で否定したけれど



まだ納得していない様子の冬馬さんは、にやりと笑った




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