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狼少年とキスの法則(2/5)


「だったらそれ、態度で示してもらえたらもっと嬉しいんだけどなあ」



「‥‥態度、ですか?」



「そ、簡単な事だよ?」



首を傾げた私の方に、冬馬さんは意味深な笑顔を浮かべて腕を伸ばした



そして、夕べと同じ優しい手を私の頬に添える



「だから‥‥ねえ、今朝はみのりからキスしてくれる?」



「え‥‥‥えええっ!?」



冬馬さんの言葉の意味を理解した途端、私の顔がもう一度火が付いたみたいに熱くなった



「なっ‥‥わ、私からだなんて、そんな事‥‥」



真っ赤な顔でブンブンと首を振った私を見て、冬馬さんは悲しそうな顔になる



「あれ、俺のお願い聞いてくれないんだ? 残念だなあ‥‥‥夕べのみのりはあんなに素直だったのに」



「そんなの知りませんっ!!」



反射的に腰掛けていたベッドから立ち上がろうとした私の腕を、冬馬さんが掴んで引き寄せる



「きゃっ!?」



「ははは、そう怒るなって‥‥ホンット、みのりのそういうトコめちゃくちゃ可愛いよね」



「こ、こんな事されたら誰だって怒るに決まってるじゃないですかっ!」



「んー、いい反応」



「‥‥‥冬馬さんっ!!」





気が付けば



私はベッドの上で、冬馬さんに背後からギュッと抱きしめられる恰好になっていて



「こーら、俺から逃げられると思ってんの?」



「うう‥‥」



もちろん、私がいくら抵抗したところで、ドラマーとして日々鍛えている冬馬さんの腕はびくともしなかった



真っ赤になって俯いた私の頬を、冬馬さんの手があやすように軽く叩く



「大体、もっと恥ずかしい事だっていっぱいしてるのに、おはようのキスくらい今更でしょ?」



「はず‥‥‥‥っ!?」



『恥ずかしい事って』



思わず口に出しそうになって、私は慌てて口元を手で塞いだ



「あれ? みのり、どうかした?」



素知らぬ振りで聞いてくる冬馬さんを軽く睨んだけれど、当の本人は人の悪い笑みを浮かべるばかりだ



(もう、冬馬さんてば‥‥‥わざと私が恥ずかしがるような事ばっかり言うんだもん)



最近、冬馬さんの愛情表現の仕方がやっと分かってきた‥‥‥もちろん、分かっただけで全然太刀打ち出来てはいないけど






(でも、せっかく一緒にいられるのに、朝から冬馬さんと気まずくなっちゃうのも嫌だし)



ちらりとベッドサイドの時計に目を走らせると、もうそんなにゆっくりしてもいられない時間になっていた



どうしよう、この状況で私から、なんて物凄く恥ずかしいけど‥‥‥だけど



「‥‥‥‥‥」



私は、覚悟を決めて大きく息を吸い込んだ




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