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加減
「なぁなぁ。いいだろ、1回だけ」
耳元に囁くと、立向居の体がピクリと跳ねる。
「な?」
「だ……っ……耳っ……」
震える手で立向居が俺の体を弱々しく押す。
「素直になれよ。それとも、嫌か?」
ふるふる、と立向居が首を振る。
「じゃあ決定。な?」
俺が顔を近付けると、立向居は観念したように潤んだ目で俺を見た。
「……じっとしててくださいね」
そう言って、立向居が俺の頬に手を当てる。
ちゅ、と遠慮がちに唇が重なり、離れた。
でもやっぱり物足りなくて、立向居の頭に手を回すとそのままがぶりと唇を食み返して、そのまま押し倒して。
立向居の腰が立たなくなるまでずっとちゅーしてたら、次の日喋ってくれなくなった。
加減って難しい。
了