あさひ


はあ、校舎内でも息が白いとは。
冷え切った空気に人気の無い朝の廊下はバックバンドのようにカツカツと音を響かせて私の後に着いて来る。
ホラームービーなんかでよくあるシチュエーションも時が朝なら何も怖いことは無いのね。
あまりの静けさに向こうで誰かが咳をするのも解る。
物音の発生源まで行ってみれば、床に座り込んだ学生会長。

「ご老体に朝はきついのかしら」
「嫌味を言いに来たのかい?」

こう見下ろすのは気持ちが良いかもしれない、冬は清々しくて良いと思うの。

「ただの立ち眩みさ」

小さく息を吐くアサヒを横目に私は適当な椅子を出して座る、学生会室ってどうしてパイプ椅子なんでしょ、冷たいったらないわ。
手を貸しても良かったけれど、席を離れたら椅子が冷たくなるから。

「ところで、何をしに?」
「アンタがいつボロを出すか、いいえ、星澤先輩の模範的な行動を目に焼き付けておきたくて」
「いちいち態とらしいんだよね、きみは」

私には関係の無さそうな書類を敬うように眺めてファイリングする、私は心が狭いわけじゃあないと思うのだけれど、なんなのかしら、ひとつひとつの動作が癪に障るというか、いちいち様になっているというか。
認めたくないわ。

「アンタいつもこんな早くから来てるの?」
「まあね」

どうかしてるわ。
学生会長って学校が好きなの?
床に座ったまま地面とキスでもしてればいいのに。

「そろそろかな」

そう呟いてアサヒは窓辺に立つ。
ぼんやりとした朝焼けがキラキラにかわる。

「冬は日の出が遅いからね」
「そんなことは知ってるわ」
「どうだいアサヒは綺麗だろう」

癪だわ。

「冬は雪が降るし空が高いせいで星だって綺麗なんだから、朝日なんて大したことないわ」
「太陽が無かったら月は輝かないよ」

癪だわ。

「あんた誰も居ない部屋でスッ転んでたんだから格好つけるんじゃないわよ」
「やれやれ」




-end-
サトウ様:ブルーメンムスタァ(BL含)



カザハとアサヒで書いて下さいました。
そうです、これが私の理想の二人です!
一応認めているのに何故かそれを認めようとしない(主にカザハが)そんなプライド合戦…きたこれ…
素敵なSSありがとうございました!



[*←] | [→#]
back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -