「ふ…んん」
「・・・はぁ、まったく。」
トキヤは頭を抱えていた。
眠れぬ夜を。
それもこれも、横で涎を垂らして幸せそうに眠る彼女のせい。
「まったく…色気のない寝顔の癖に、その艶やかな寝言は反則です。」
彼女・・・名前の歌声は皆が惹き付けられる。「アイドル」に相応しい存在だった。
「名前・・・」
髪を撫でるとふわりとシャンプーの香りが鼻をくすぐる。
「ん…ときやぁ…」
寝ぼけたまま、腕を伸ばし私を求めた彼女を引き寄せた。
「涎…垂れてますよ…」
指でそれを拭い柔らかい唇に触れると、すでに止められないところまできていた。
彼女の唇を舐めるとくすぐったいのかクスクス笑っているがまだ目覚めない。
チュ…ピチャ…
「ぁ・・・ん・・・」
「ん…名前」
キスしながらゆっくりと首筋まで下がって行く。耳たぶを甘噛みしながら名前を囁く。
「ぁ…はぁ…ん・・・・・・え!?・・・トキヤ…!?」
「名前が悪いんですから、大人しく流れに従ってください」
抵抗を示した彼女の腕を静止させてベッドへ沈ませる。
「ちょ…意味わかんないんですけど!!私寝てただk…んん!?」
キスをして唇を塞ぐと同時に柔らかな胸に手を這わせわざと頂を指で掠めた。
ピクッと反応する彼女に気をよくし、舌を口内に差し込んだ。
ピチャ…チュ…クチュ…
「んぁ…やぁ…」
「嫌じゃない癖に何を言ってるんです」
「・・・もぅ///」
頬を赤らめてぷうっと膨れる彼女も愛おしくて堪らなくなる。
「乳首…触ってないのに勃ってるじゃないですか…やらしい」
頂をいきなりキュッと摘まむと大きく彼女の肢体が跳ねた。
「ほら、これも好きでしょう?」
クリクリと摘まんだり捻ったりすると気持ちいいのかピクピクと震わせながらトロンとした瞳が私を映した。
「あぁ…んぁ…トキヤ…だめ…」
「どうしてです?」
「トキヤは明日朝から生番組の仕事でしょ!?」
急に仕事の話をフラれて一瞬手を止めるが、昂った体は止められない。
「もうしなくては眠れません。それに幸いなことにまだ11時ですよ。時間はあるし体力も全く問題ありません」
ニコっと笑いながらも服を脱がしにかかった。
「だめ!!私が朝起きれない!!トキヤ見なきゃだもん」
はぁ…また何でこう意味のわからないことを言い出すのか。
「こうして生で見て触ってそれ以上までしてるじゃないですか」
呆れながら彼女を見下ろした。
「トキヤファンの一員だからテレビのトキヤも大事なの!」
「あのトップアイドルの苗字名前にそう言われるなんて光栄ですが、私も男なので無理です。やめません。見たいのならちゃんと自力で起きてください。」
私のファンだと言われ嫌な気はしないが、そんな私との事情よりもテレビを優先した彼女に少し腹をたて、肩に顔を埋め首筋に息を吹きかけた。
「あ…ぁん…」
「その声を聴けるのは私だけですよね?」
「???・・・トキヤだけだよ」
彼女はふわりと笑った。
今宵、眠れぬ夜を彼女と共に。
「っ…、ん…。もう、ちゃんと目覚ましかけて出掛けて出かけてね!!!」
「・・・はぁ。」