ドフィが、おれの裏切りに気が付いている。

 そう確信した時、血の気が引いた。ドフィが何か匂わせるようなことをしたわけではない。けれどそう、その目線に何か、親愛の情だけではない違うものが混ざっていることに気が付いてしまったのだ。
 ドフィは裏切り者のおれに気が付いていて、その上で泳がせている。けれど本来ならそれはあり得ない。裏切りを裏切りと認識した時点で、ドフィならば殺しているはずだ。我慢するわけがない。ファミリーを危険に晒すような真似を許すわけがない。タイミングを計っている? わからない。それでも、殺される前に気が付けたのならば上々だった。

 であれば、もう、こんなことは続けられない。

 逃げるべきだろうと思う。バレてしまったと海軍に逃げ帰って、ドンキホーテ・ロシナンテ中佐として、任務の失敗と終了をセンゴクさんに報告するべきだと思う。

 けれど、だけど。


「センゴクさん。すみません……おれは兄を裏切れない」


 ドフィはおれにいつだって優しかった。……おれはあの人が、兄が、いまだって変わらず大好きなのだ。なのにおれはスパイになった。スパイとして潜入するしかおれには道がなかった。裏切りたくなかった。そんなのは言い訳だ。結局おれは海軍に兄の情報を流した。大好きな兄の、優しくて柔い愛情を惜しみなく注いでくれる兄を、裏切り続けていたのだ。
 泳がせていたのではない。ドフィが裏切り者を泳がせるわけがない。だからおれから言ってくるのを待っていたのだ。許されているわけではないだろう。猶予をくれただけ。ドフィは裏切りを許さない。ただそれでもきっと、弟には優しかったという話。

 罪は、自身で償わなければならない。


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 ロシナンテが戻ってきた! 本当の意味で! 自分の意志で、選び取った!

でもセンゴク

真夜中を開く

『さあさあ早くこちらにおいで』で、ドフラミンゴ側についてローも一緒に海賊生活謳歌するコラさん成り代わりif話@匿名さん
リクエストありがとうございました!



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