不意に、由良の目の前で夏海の身体が崩れ…そうになって、由良は細い腕で夏海を抱き留めた。

しばらく肩で呼吸していた夏海は、ゆっくりと、体勢を整える。

「あ…あり…がと、由良ちゃ…。ちょっと…調子にのりすぎ…て」

「うん、ごめんね、私が暖房あんまりきいてない場所で待たせたから…早く部屋に戻ろ」

由良は夏海の手を引いて踵(きびす)をかえしながら、外来から病棟までゆっくりと歩を進める。

「…いーんだよ、私は大丈夫だから。せっかくの雪だもの、あったかい部屋じゃ窓がくもって見えないし…ちょうどあそこの廊下なら、ね」

呼吸を取り戻した夏海はにかっと笑って、また雪が見られたらいいねと歌うように言った。



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