あの子はだぁれ? 2











私たちが歩いていると、前方に神宮寺レンを発見

レンくんは私たちに気づくと、こっちへやってきた



「やぁ、お二人さん」


「レンくんが一人なんて珍しいね」


「そうでもないさ。ところで…………」



レンくんは侑くんを抱っこしている翔くんを見てにっこり笑った



「その子供は二人の子かな?」


「ぶふっ!!!!」



クスクスと笑うレンくんとは打って変わって翔くんは顔を真っ赤にさせながら俯いてしまう

そのことに私は"そうだよー"なんて嘘をつく

すると翔くんはもっと真っ赤になる

それに侑くんは困惑してしまいおどおどしている

ダブルで可愛いな…



「ま、冗談はさておき、この子はね……」




―――カクカクシカジカ…




「ふぅん…大変だね、レディも」



まぁ、林檎ちゃんの事情に巻き込まれたのは確かだけど、大変ではない

やっぱり、この状況を楽しんでいる私が居るから



「…お…おねぇちゃん…」



侑くんはレンくんが少し怖いのか、助けを求めるような目で私を見ていた

翔くんから侑くんを引き取ると、私はレンくんは私のお友達だよ、と伝える



「こわくない?」


「うん、優しいよ」



侑くんはレンくんを見ると、ふわって笑った

それを見たレンくんは少し驚いていたけど、すぐにニッコリ笑って侑くんにあいさつをした

私はその二人を見て、すごく微笑ましく思ったけど、敢えて口には出さなかった

あまりにも、レンくんが優しく笑うから



「翔くんにはすぐ懐いたのに…、
あ、身長か」


「オレの方が断然高いからね、怖かったんだろう」


「お前ら喧嘩売ってるよな」


「あははー、気の性だよー」


「棒読み過ぎるだろっ!!」



ぷぅ、と頬を膨らませて怒る翔くんは侑くんと同じくらい可愛い

あははー、なんて3人で笑ってると視線を感じた



「……子供が居ます」


「あ、イッチー…」


「桜の腕の中に子供が…」



一ノ瀬くんは本を何冊か持ち、ただ私たちの光景を前にして、立ち尽くしている

一番見られたくない人に見られてしまった



「桜…」


「な、なに…?」


「はっきり言ってくださいね」


「うん…」


「誰との子供ですか?」


「林檎ちゃんの親戚のお子さんです」



私の一言にトキヤは安心したのか、ぱあっと笑顔になった



「(一ノ瀬くん…可愛いじゃん)」



そんなことを思ったのは内緒

だって…



「よかったぁ!!!」



―――ギュー!



「いやいや!!侑くん居るからあんまり力入れないで…!!」


「あ、すみません…」



侑くん間に挟んで抱きしめられるって…

危ないよー



「イッチーとレディが侑くんを挟んで抱きしめあってると、若い親子に見えるね」


「!?」


「う、わぁ…」



なんかレンくんが変なこと言い出したよ…

頭でも打ったのかな?

そんなこと言ったら、一ノ瀬くんが調子に乗るに決まってるじゃない



「なら、桜!今すぐ結婚……」


「嫌」


「おねぇちゃん、けっこんするの?」



純粋な子になにを…



「しないよ」


「おねぇちゃん、このおにいちゃん…きらい?」



おおぅ…

なんて質問を…

一ノ瀬くんの目がキラキラしてるじゃん



「…えぇ…と……」


「ぼくはね、おにいちゃんすきっ!」



侑くんは私の腕から降りると、一ノ瀬くんに駆け寄る

すると、一ノ瀬くんの脚にくっつく



「だって、おにいちゃんはおねぇちゃんがすきだもん!
だから、ぼくもすき」



なんていい子なの…!!

というか、なんで一ノ瀬くんが私を好きってわかるわけ?

侑くんすごいんじゃね?

自覚してる私は自意識過剰なんだろうな…



「さぁ、おねぇちゃんは私の事が好きなんですか?」


「侑くんに便乗するなよ」


「さぁ!」



侑くんと一ノ瀬くんの視線が刺さる

その横で、レンくんと翔くんもニヤニヤしながらみつめてるし…

なんなんだよ、もう

でも、こんなことでくじける私じゃない!

私は侑くんを抱き上げる



「うんっ!おねぇちゃんは侑くんもおにいちゃん達も、大好きだよ!」



ふふふ…

おにいちゃん達って言っちゃえばこっちのもんさ



「「「っ……」」」



いや、なんで?



「レディ…今のは良かったよ…」


「………っ…恥ずいな…」


「桜!私も愛してますっ!!」



なんか違う方にいったー…

なんでレンくんと翔くんまで赤くなってんのさ



「おねぇちゃん、どうしたの?」


「なんでもないよ
なんか忘れてたけど、部屋に行こっか」



冷めた目で3人を見て、私はため息をつく

あぁ、なんでこうなったんだろう…








――――――――――――…………











それからは騒がしい日が続いた

毎日、作曲と同時進行で侑くんの世話

まぁ、手の掛からない子だからよかった

どちらかと言えば、一ノ瀬くんの方が
手がかかる

子供相手に嫉妬したり、一緒に居たがるし…

さすがに、侑くんが居ないところで愚痴を言うんだけど

でもね、思ったの



「ねぇ、一ノ瀬くん」


「なんですか」



今日もちょっと機嫌が悪い

でも、そんなこと私には関係ないし

言わせてもらう



「私たち、付き合ってないんだからさ、嫉妬とかする必要ないよね?」



向こうを向いているから表情は分からない

けど、何となくびっくりしてるのは分かった



「……そう、ですね」





















ごめんね、一ノ瀬くん




私にはこうするしか出来ないんだ








―――――――――――………













長いと思っていた一週間も、あっという間だった

最初は怖がっていたレンくんとも仲良くなり、翔くんにはいっつも遊んでくれていた

一ノ瀬くんとは、会えば嬉しいのか寄って行ってはお話したりしてたんだけど、あの日からは一ノ瀬くんの方が、あまり近づかなくなった

毎日、楽しかった



「おねぇちゃん……」


「ん?」


「また、あえる?」



侑くんの目が私を捕らえる

今から林檎ちゃんの所に行くんだ

侑くんだってわかるよね

今日でお別れだって



「うん、会えるよ」


「ほんと?」


「ほんと」



ニコニコ笑う侑くん

みんなに初めて合った通路を歩く

今は、ちゃんと歩いてる



―――コンコン…



「失礼しまーす」


「しつれーしまーす」


「あ!来たわね、桜ちゃんと侑くん」



林檎ちゃんは手を繋いでいる私たちを見て微笑んだ

桜ちゃんもいつかはこうやって歩くのよねー、なんて言うけど、そんなことないよ

私には向いてないかも

侑くんは好きだけど、侑くんが居ることで起きた出来事は、ちょっとトラウマになるかもね



「じゃあ、行くわよ、侑くん」


「うんっ!おねぇちゃん、またね」


「うん、またね、侑くん」






―――――――――――………






「…………レディ」


「なに」


「イッチーのこと…」



侑くんと別れてから、レンくんが部屋に来た

春歌ちゃんと友千香ちゃんが居たから、部屋の外に出る



「何を言ったんだい?」


「別に何も?」


「…別に、じゃないだろう」


「私は真実を言っただけ」


「イッチーがレディの事が好きなのを知っていて…」


「そうだよ、知ってる」


「じゃあ、嫌いかい」


「嫌いじゃない!」



思わず叫んじゃった

だって、嫌いなわけないじゃん

ずっと一緒に居たんだもん



「一ノ瀬くんがデビュー出来なくなるのは嫌なのっ!!」


「………レディ」



この気持ちは仕舞っておきたかった

できれば、ずっと















―――――――――――――――――――


10月くらいの設定

暗いねぇ(「・ω・)「

誰とくっつけようかなぁ






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