03 門前で学長


ライアーたちが大学の外へ出ると、眩しい光が差し込んだ。
今日は晴天だ。花壇に彩られた花は美しく、その前に置かれたベンチで、学生が話し込んでいる。

門までの石畳を歩く。
途中、グロスキー警部が脇を走り去っていった。相変わらずのスピードだった。
ライアーが、その後ろ姿を目で追う。学内から出てきたようだが、なにか用事があったのだろうか。
また、その後からデルモナ学長も出てくるのが見えた。

「あら。あそこにいるのってデルモナ学長ですよ」

レミが言う。

「教授、長旅に出かける前にあいさつしていきませんか?」
「そうだね。せっかくだから、ひとこと声をかけていく事にしよう」

レイトンたちは、ゆっくりと歩くデルモナ学長に近づいた。今日の学長の髪色は茶色だった。

「おお、おお、レイトン君じゃないか。それにライアー君も、大人数で。いったいどうしたのかね?」
「こんにちは、デルモナ学長」

レイトンは軽く帽子をあげて挨拶をする。

「しばらく休講にしてもらうことになったので、お伝えしておこうかと思って」
「また調査に行くのかね。気をつけたまえよ」

レイトンの言葉に、デルモナ学長はにこやかに笑みを浮かべ、大きく首を動かした。
そして、目線をライアーへ向けた。

「さて、さて、ライアー君がお休みとは。めずらしいこともあるものだ」
「ご迷惑をおかけします。学長」
「いや、いや、かまわないよ。彼の調査は大変だと思うが、がんばりたまえ」

学長は手を振ると、石畳を右に曲がって行った。途中で話しかけてきた生徒へ、快く応じている。

「…学長、俺がレイトンの遺跡調査を手伝うのだと勘違いしてないか?」
「今回ばかりは、あながち嘘でもないけどね」

どうにも腑に落ちないといった顔をしながらつぶやくライアー。
一方でレイトンは「実際は二人とも、サーハイマン博士の調査の協力といったところかな?」と笑う。

「旅から戻ってきたら補講を開かなくてはね」
「学長が柔軟な考えの持ち主で一番助かっているのは、もしかしたらお前かもしれないな」
「ナゾの調査はいつも突然だからね。さあ、バスに乗って大通りへ向かおう」

校門を過ぎ、ライアーたちはバス停に立った。案内図を見る。
アーリアが首をかしげた。

「バス?」
「そっか、アーリアはバスを知らないんだね。ロンドンを移動するのに便利なんだよ」

ルークが説明する。
背丈だけ見たら姉と弟なのに、その様子は小さい妹を持つ兄のようだ。アーリアの言動が、記憶喪失のせいで幼く感じられるからだろうか。ルークはすこしお兄さんぶっているようだった。

「来たようだよ」

ちょうどすぐに赤いダブルデッカーバスが見え、レイトンは手を出した。




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