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「…………」
「……? なに、キノ? 私の顔になにかついてる?」
「いや。……レイは、髪が長いよね」
「え? ああ。うん、そうだね」
「…………」
「……切った方が、いい?」
「え?」
「いや、だって見てるから……」
「そんなことはないよ」
「そう?」
「ああ」
「……そういえば、キノは短いよね」
「そうだね」
「私も昔は短かったんだよ。シスターに言われて伸ばし始めたの」
「……ボクは、昔長かったよ」
「そうなんだ。やっぱり、短い方が便利かなあ?」
「レイは長くていいんじゃないかな」
「そう? 邪魔にならない?」
「邪魔だと思ったことは一度もないよ」
「本当? ありがとう、キノ」



「レイ、シャワー出たよ」
「キノ。うん、わかった。……やっぱり、シャワーも長くなるよね」
「髪のこと? まだ考えていたのかい?」
「うん」
「シャワーなら、ボクも長いから。ゆっくりあびてくるといいよ」
「うーん……」
「いいから。ほら」
「わ、汚れるよ、キノ」
「いってらっしゃい」
「うん。いってきます」


「…………」
「…………」
「行ったね、キノ」
「エルメス。……切らなくていいのにな」
「レイの自由じゃん。それとも、理由があるの?」
「勝手ながら」
「聞きたい」
「わかった」
「よっしゃ」
「いくつかあるのだけれど……」
「ふむ」
「まず、長い髪を見ていると昔を思い出す」
「ああ、あれかあ」
「単純に、似合うというのもある」
「まあ、想像できないよね。短いの」
「あと、」
「うん」
「抱きしめたときに、きもちいい」
「…………」
「…………」
「…………」
「……黙るなよ、エルメス」
「いや、だってねえ……」
「…………」
「…………」
「……エルメス」
「こればっかりは。なにを言っても、キノの悪口になるよ」
「どういうことだい?」
「変態っぽいとか。のろけはたくさんだとか」
「…………」
「はまってるねとか」
「……自覚はある」
「ベタボレだね」
「言うなよエルメス……」
「黙るなって言ったじゃん。キノ」
「恥ずかしくなってきた」
「え、いまさら?」




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