黒子のバスケ | ナノ

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WC(ウィンター・カップ)も終えて、部活を引退した三年生が来なくなった。寂しいと言えば寂しい。最近は授業自体がないため学校にすら顔を出さない。大概の部活は夏で先輩が引退しているから、それよりも長くいてくれたことは素直に嬉しいけれど。

そんなわけで、レギュラーは、PGの今吉とSFの諏佐が抜けて今新たなチームへと変わろうとしていた。

『(あと、1本決めたら帰ろ)…ッッ!!』

誰もいない体育館にパサッと 心地よいネットの音が響く。すぐダンタンタン とボールの落ちる音もして、七海がよしっと小声で呟いた時、「まだ残ってたんやな」と男性にしては少し高めの声がした。

手を膝についたまま、顔だけ上げれば、そこにはひょいと手をあげ近づいてくる今吉の姿がある。


『お久しぶりですね、先輩』

七海は背筋を伸ばして挨拶した。一度だらしないところを見られたとしても、年上の前だからとシャキッとする七海を見て、今吉はいつも以上に目を細くした。

「自分、相変わらずやな」

『?』

「こっちの話しや。白崎、今日自分が鍵閉めるん?


『はい、そうですが?』

「ほな白崎が着替え終えるんまで、シュートしててえぇか?何や見てたら身体が疼いて仕方ないねん」

『構いませんよ、勿論。先輩がやりたいだけやって下さって』

「ありがとーな、白崎」

『いえ、では失礼します』

自分の使ったボールを籠に戻し、一礼して部室へ戻っていく七海を目の端で追い、にたりと不気味な笑みが浮かぶ。

「ほなら、やりたいだけヤらせてもらうわ。七海」

誰もいない体育館に今吉の声だけが残った。



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