side:jintan

まず整理する必要がある。
どうしてめんまがここにいるのか。

部屋の電気もつけずに、深夜番組をそっちのけで、俺はポテチを口にした。

「この世に心残りがあって、成仏出来ないってのが妥当なとこだよな」

わからねぇ。
口に出してみたところで、わかるはずもねぇ。

だって俺の知っているめんまはいつだって笑顔で、
あの日だって、笑顔で……

俺はずっとめんまに謝りたかった

それがただ頭を下げるだけじゃないって、
それぐらいのことはわかってる。

「あっ……」


「これがめんまのお願いかもしれないよ?
じんたんが学校いきますようにって!」


いつかのめんまの言葉がよみがえる。
冗談のように笑いながらいっためんま。
しかしめんま本人もわからないという願い。
試してみる価値はあるかもしれない。

「学校……」

顔をあげると、画面には大写しになったホラー映像が。

「うっわあああああ!?」

俺は慌ててチャンネルを放り投げ、悲鳴を上げた。




side:hotaru

やっぱりめんまちゃんに謝らなきゃ。
じんたんと話せないのも嫌だ。

……でもめんまちゃんはあのことを、じんたんに話してるのかな。じんたんを介してじゃなきゃめんまちゃんとは話せない。

『もし知らないなら、知らないままでいてほしいな』

あんな醜い部分を自分で説明しなくちゃ……なんて、それだけはしたくない。

誰にだって知られたくないことがある。
勿論そういう気持ちは瑠衣にもあるのだ。

『どーしよう……』

じんたんをはさまずに謝れる方法、か…。

瑠衣は、白紙のノートをシャーペンの先でつついた。手は近づいきた中間テストのためのノートづくりを完全にやめていた。

そういえば……。

じんたんはめんまちゃんが蒸しパンを作ったと言っていた。それはめんまちゃん一人で作ったってこと、なんだろうか。

もし一人で作ったのだとしたら、めんまちゃんは物を持てるか動かせるかするんだろうか。

それが可能なのだとしたら、謝れるかもしれない。

ノートを閉じた瑠衣は早速、便箋を取りだし、字を書き始めた。水色封筒の宛て先は無論彼女だ。


手紙ならきっと伝わる。
善は急げというし、明日はじんたんち寄ってから学校へ行こう。






×