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絶賛めんまちゃん捜索中なう。 「こっちだよ、こっち!!早くっ」 ぽっぽに急かされるままに、僕等は彼の後を追った。細い獣道を懐中電灯片手に持ったぽっぽ先頭でひたすら走る。 僕やつるちゃんより前を行くじんたんが一度止まって、「なぁホントなのかよっ」と言った。 「マジだって!!確認したし…。それにほら、つるこの言ってたワンピースだよ。この辺にリボンのついてるやつだったしよっ」 「リボンのついたワンピースって…」 ぽっぽが自分の胸元を指差した。荒い息を整えながら、瑠衣はあ、と声をあげた。 そーいえば。 リボンのワンピース よくめんまちゃんがきてた。 あの写真のめんまちゃんも青いリボンのワンピース、着てたっけ。 「なぁー、行こうぜ?」 なかなか動き出さないじんたんに痺れを切らしたのかぽっぽが先を急ごうとした時、「えっ、あっ!!」とじんたんが声をあげた。 じんたんの視線をたどり、木々の奥を見れば白い何かが消えていくのが見えた。 「めんまだっ!!」 ぽっぽの声とほぼ同時に道のない草むらへとじんたんが迷うことなく踏み込んだ。 「あ、じんたん!一人じゃアブねーぞ!!」 ぽっぽの制止の言葉すら届かない。 わからなくもない。けどじんたん、危険過ぎるよ。 「おーい、めんまー!!」 ぽっぽが僕とあなるを気遣いながら走ってくれる。そのせいかじんたんとはだいぶ距離が開いてしまったみたいだ。 「もう、ダメー!」 ついにあなるが根を上げて、膝に手をつきながら、荒い息を吐いた。 「大丈夫か?ほたるも」 『あ、うん…なん、とか』 「じんたん、そっちは?」 「さっきまでこの辺にいたはずなんだけど……」 僕を気遣ってくれたぽっぽは少し大きな声で、下の方にいるじんたんにも声をかけた。頭にいっぱい葉っぱをつけたじんたんが辺りを見回しているが、どうやら見失ってしまったようだった。 「仕方ねぇ、一度戻って…」 そう言うぽっぽの声を遮り、「あーあ!!」と苛立った声をあげたのは、なんとつるちゃんだった。 「そんなデカいがたいして、いくらすね毛剃っても、相当無理があるわよっ。ユキアツッ!!」 驚きを隠せない僕等に、つるちゃんの言った内容はさらに衝撃的だった。その言葉に反応して、じんたんの場所より下でガザッと音がし、じんたんが「いたぞっ!!」と後を追いかけていく。ぽっぽやつるちゃんも後をついて行く。 「ちょっと待ってよー!」 『一緒にゆっくりいこう、あなる。その靴じゃ走るの辛いだろうし、もし相手が本当にゆきあつなら、きっとじんたん追いつくはずだよ』 焦ることない。 と手を伸ばせば、あなるは僕を呼んで手を握ってくれた。 二人並んでみんなの方へと向かう。もう足音も聞こえない。追いついたのか?だとしたら近いかな。 なんて考えてたら、急にあなるの手に力が入った。 『あ、なる?』 立ち止まり、隣を窺えば涙目のあなるがいた。 「…追いつけないよ」 『え?』 「…私は、…追いつけないよッ。焦るに、決まってる…!隣にすら立ててない…その時点で追いつけるハズなんてないよ!」 その言葉にハッとした。 僕は何気なく使ってしまったけど、彼女はずっと気にしてたんだ。 めんまの影を追いかけて、自分から離れてくじんたんのことを。 自分じゃめんまには適わない。 …めんまには追いつけない。 もしずっとそう思ってきたのだとしたら? なんて最低な発言したんだ、僕は。 じんたんとめんまを見て、悲しい顔をしたあなる。 じんたんと話している時の、嬉しそうな目になったあなる。 ゆきあつや僕と話す時とは、別人みたいにきれいに笑っていたあなる。 何度となくみた彼女の表情は、あなるがじんたんに好意を寄せているのが一目瞭然な程わかりやすかった。 『傷つけてごめん、あなる。焦らないでなんてもう言わない』 彼女の真正面に立って、片手であなるの涙を拭う。驚いたように顔をあげたあなるの目を見た。 『…君は昔から君に出来る精一杯をちゃんとしてた。気づいてたのに、あんな事いってごめんね』 でも。 めんまちゃんに追いつけないのは、あなる…君だけじゃないんだよ。 それは君の言ってるのとは少し意味が違うのかもしれないけど。 ゆきあつも、つるちゃんも、ぽっぽも、僕も。…それから、じんたんでさえ。 誰もめんまちゃんには追いつけないんだ。 だってそうじゃない。 めんまちゃんはもう どうやったって手が届かない 遠い場所まで行っちゃったんだから。 ×
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