人は見かけによらない


人は見かけによらない。
小さい頃からそう言われてきた。だから外見や印象で判断しては駄目なのだと。
もうそう言ってくれる人は既に居ないけれど、この18年間何とか生きてきてそう思ったことはなかった。

例えば、この私が所属する調査兵団のハンジ分隊長。
ハンジ分隊長は中性的な顔立ちをしていて、その表情は基本的にイキイキと明るい。人類最強をからかう時も後輩に絡む時も、巨人と戯れている時は尚だ。
性格も、熱中することに対する集中力は物凄いけれどその他はからっきし。特に生活能力。完徹余裕で数日机に張り付いたままだし寝食忘れるし部屋は3時間もしない内に汚くもなる。ハンジ班に配属されて三日で私はハンジ分隊長に変人というレッテルを心の中でつけた。

次に最近入団してきた104期生のエレン君。
意志の強い大きな目をしていて正に少年と言った少年。
性格は元気ハツラツと言った様子で好奇心が強い。ちょこまかと人類最強の周りをうろちょろしては兵長に怒られている。まあ、実際には彼が巨人化出来ることから人類最強率いるリヴァイ班が彼のお目付け役なだけなのだが、彼が人類最強にあれこれ言い付けられているとどうしても飼い主とその飼い犬に見えてしまう。見た目言動に違わずにわんこ。

「見た目によらないなんて嘘ですよ。兵長だってあんな怖くて超が付くほど潔癖じゃないですか」
「ふーん、だから夜の方も淡白そうだって?ソウ、まだ昼だよ?」
「誰もそんな話しはしてませんニヤニヤしないでください!」

全く何を聞いていたんだこの分隊長は!どうしてそういう話しになるのだろうか。
バンッと机を叩くと集まる視線に居心地が悪くなる。ハンジ分隊長が「まぁまぁ抑えて」とかって言ってるけど、こうさせたのは誰でもないあんただからな!

「いやまあ確かに何でわざわざ菌を交換するような真似とかって言ってそういう方面全般は淡白かもしれないですが、そういうものも含め」
「ほぅ、俺は性欲が薄くてろくに女を満足させずに吐き出すだけ吐き出したらお仕舞いにしそうとか、そういうことか?」
「だからそういう言い方は………って、え?」

なんでこの人はと反論しかけたところで違和感を覚えて口をとめる。
だって確かに声がしたのに目の前のハンジ分隊長の唇は動いていなかったのだから。しかもハンジ分隊長の声はもっと高い。

「なぁ、ソウよ」

嫌な予感がする。嫌な予感しかしない。私の頭の中が痛いほどに警報を鳴らしている。これはやばい、と。

「は、い…」

ギギギ、と油の差していない機械のように後ろを振り向けば悲しきかな、予想が当たってしまった。
そこには腕を組んだ人類最強のお方が。あ、私の人生終わった…削がれる…

「今夜俺の部屋に来い」
「ええっ!嫌で、喜んで!!」







人は見かけによらない

(今日オフでよかったねー。で、どうだったの?リヴァイは。見かけ通り淡白だった?)
(ハンジ分隊長、五月蝿いです)
(湿布貼ってあげようか?)
(ハンジ分隊長、五月蝿いです)





…………………………
最初の進撃がこれってどうなんだろうか…



 

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