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「バッシュ…まだ、続けるの?」
「当たり前なのである」

大変、この目は本気だ…





それは晴れた日のこと、私は昔のようにのんびりと悠然な大地が広がるこの穏やかな地を満喫していた。
ああ、晴れてるってやっぱり素敵。

雨が多い自国を思い出しながら庭の草むしりをする。
この地味な作業が楽しくなってくるのよね。あ、これ手強いわ。
ぐぐぐっと根が千切れないように、けれど強く引っ張れば、後ろからきゃあっと可愛らしい声が聞こえてそれに驚き雑草がぶちっと千切れた。


今のって、リヒちゃん?…まさか何かあったんじゃ!

「リヒちゃ…!」

スカートについた土に構わず、ばっと立ち上がって振り返り走り出そうとすれば、本当にすぐ後ろにリヒちゃんが居てぶつかりそうになって慌てて身体を捻って回避。
したら転んだ。
当たり前よね。ぐきっていった気がしたけど何より、び、びっくりした…


「どうしたのリヒちゃん、怪我した?虫でもいた?」
「……」

立ち上がり、目を見開いて口元を手で抑えているリヒちゃんの周りをぱぱっと回って見たり洋服の上からぽんぽんと確認してみたけれど特に怪我とかは、ないみたい。良かった…
だとしたら虫?不審な男なんてのはバッシュが居るから大丈夫だし
怪我をしていないとわかりほっとしたのも束の間、少し考える仕草をして、もう一度口を開こうとしたら

「草むしりなんてっ、だめです!」
「、へ?」
「アリスさんはお客様ですのに、草むしりだなんてそんな…」
「何事であるか!」
「ひゃあああああ!…び、びっくりした、銃ぶっ放してるバッシュのが危ないのだわっ」


いやいやと頭を振るリヒちゃんに困っていれば、彼女の護衛役がセダーン!と銃を打ちながら駆けてきて突然の威嚇射撃に肩を揺らす。
なんなの、本当に相変わらずなのだわ
いきなり発砲とかやめてくれないかしら

「リヒテン!大丈夫であるか!?何があった!」
「お兄さま、アリスさんが草むしりを…」
「断ったのか!アリス!キサマ客人のくせに、」
「言い掛かりよ」
「に、兄さま違うんですっ、逆です、草むしりをされていたんです」

リヒちゃんの言葉に、さっきの私と同じく目を丸くするバッシュ。
そりゃそうよね。

「…やらせておけばいいのではないか?」
「ダメですっ!何を言ってらっしゃるのですか兄さまっ、アリスさんはお客様なのですよっ」

優しいリヒちゃんの言い分としては、客人に草むしりなんてとんでもない、ゆっくりしていてくださいみたいなことなんだろうけど。

「リヒちゃん、どうしてもダメ?」
「アリスさん…」
「リヒちゃんを困らせたいわけじゃないの。私だってリヒちゃんが家に来て草むしりなんてしてたら慌てて止めるわ!」

野郎ならまだしも女の子、特にリヒちゃんにそんなことさせられない。
では私の気持ちがわかるアリスさんなら、と言葉を続けようとするリヒちゃんの目の前に人差し指を突き立て言葉を制す。

でも、じっとしてるのは性に会わないもの。

困ったわねと眉を下げながらそう言えばゆっくりと瞬きをしてからアリスさんらしいですと微笑んだリヒちゃんは天使みたいだった。

















「それでもやめてくださいまし」

にっこりと笑顔で言い放つ辺り、やっぱりリヒちゃんは最強だわ。






 




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