NO.TIE.TLE | ナノ


科学班フロア


「フンフンフ〜ン♪」


「室長、何スか?そのでかいロボは。」


ニカがいない為中々仕事が捗らない科学班一同は、鼻歌を歌いながら何やらゴツいロボットを調整するコムイに冷やかな視線を送った。


「最後に僕とお揃いの帽子を乗せてっと・・。よし、出来上がり!」


「仕事して下さいよ室長ー・・。」


「何だかそのロボ、少し室長に似てますね。」


『似てる』と言われたコムイは気を良くしたのか眼鏡の奥をキラリと光らせ、得意気に言った。


「フッフーン、それもそのはず!このロボットは僕の頭脳を完全コピーした、言わば科学班の救世主なのだ!名付けて『万能ロボット・コムリンT』!!」


歓喜の雄叫びを上げる科学班達はこの後更に己等の仕事が増えるという事を、誰一人として予想していなかった―・・





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「『ニカ』内臓機能オールクリア、血液にも異常は見られません。72時間前から安定しています。」


白濁色の羊水で一週間眠り続けているニカ。


危険な状態が続いたものの今は安定しているようで、先日と比べ顔色も良い。


そんな彼女を見上げて研究員の一人は言った。


「よし、明日にでも・・」





ズバン!





突然、地響きと共に部屋の壁が崩壊。


唖然と視線を移す研究員の瞳に飛び込んで来たのは、ベレー帽を被り鋭くとがった四本の足で這いずり回る巨大ロボットだった。


「ぎゃあああ!」


「助けてくれぇえ!」


悲鳴と共に下敷きにされて行く科学班を見て、研究員は次々と逃げて行く。


「ニカー!目ぇ覚ませー!」


その身体にしがみついたリーバーはニカが眠る硝子ケースに向かって懸命に叫ぶが完全に沈黙している為に反応は無く。


『ターゲット(結城 ニカ)確認、捕獲スル!』


そして、そんなリーバーの行動も虚しくコムリンTは硝子のケースに勢い良く足を突き刺した。


「ニカー!!」


思いの他頑丈に出来ていた為全壊は免れたが、大きく空いた穴から羊水が漏れ出して行く。


その羊水に足を滑らせたコムリンTは、ひび割れた床が重たい身体と衝撃に堪えられなかったのか抜け落ち、リーバーだけではなく数人の科学班を巻き添えにして落下して行った。





ドン!





「ぎゃああ来たあああ!」


下の階の人々は突如上から降って来たコムリンTをどうにか静止させようと倉庫から持って来た段ボール詰めにされたダイナマイトを逃げ腰ながらも投げようと試みる。


しかし、それはそのロボットの主により簡単に阻止されてしまうのだった。


「キャー止めてー!!!」


「!!(キーンッ)」


特殊なメガホンを持ったコムイが女々しく、そしてかなりの爆音な叫び声を上げた為に科学班は反射的に耳を塞いだ。


その所為でダイナマイトを落としてしまった為にコムリンに投げるはずだったそれは科学班の足元で大爆発を引き起こした。


コムリンを盾にしてどうにか免れたリーバーは鬼の形相でコムイに叫ぶように言った。


「アンタは悪魔か!!」


「だって・・コムリンが・・僕のコムリンが・・うぅっ」







第六夜 黒の教団壊滅未遂事件





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