また始まる日々

「冴木さん!」
「冴木さああん!」
「冴木!!」

蝶屋敷にて、炭治郎と善逸と伊之助の声が一斉に揃った。その声にパッと顔を上げてニコリと笑うのは冴木。

「炭治郎くん!善逸くん!伊之助くん!」

やあ、と言いながら手を振る冴木の元に三人が駆けつけた。

「意識が戻ったんですね冴木さん!」
「うん炭治郎くん、昨日ね!」
「俺、もう冴木さんが二度と目を覚まさないかと…」
「心配してくれてたんだね善逸くん…」
「そうだぞ!俺達死ぬほど心配してたんだぞ!お礼に何か美味い物食わせろ冴木!」
「うんうん、ありがとう伊之助くん!今度都合を見つけて美味しい物食べに連れて行くね!」

任務中の怪我により一週間程目を覚まさず寝たきりだった冴木が昨日ようやく意識が戻った。その知らせを受けて炭治郎らはすぐ様蝶屋敷にやって来た。三人とも冴木の事が本当に心配だったから見たところ支障も無く歩けているし意識だってハッキリしているから目を覚ましてくれて本当に良かったと思った。冴木も自分の事をこれ程気にしてくれていた三人を見てとても嬉しく思った、その時。

「冴木」
「あっ、冨岡さん」

現れたのは冨岡義勇。冨岡の姿を見て炭治郎らは冴木から少し離れ冴木は一歩冨岡へと近づいた。

「今日も来てくれたんですか?」
「ああ、冴木の具合が気になったからな」
「しのぶさんも居てくれるから心配ないのに」
「確かに、胡蝶が居れば安心するが」

淡々といつもの調子でそう話す冨岡。だがいつもと違ったのは、ソッと手を挙げ冴木の頭をポンと撫でた事だ。えっ、と炭治郎は驚いて善逸はギョッ、と目を丸くする。

「それでも俺はこの目で冴木を見たかった」
「冨岡さん」

二人を取り囲む甘い匂いを感じ取ったのだろうか、炭治郎は二人の関係の変化を察してパアッと笑顔になる。

「冴木さん!冨岡さんと両想いになったんですね!」
「や、やだ炭治郎くんってば…そんなハッキリ言わなくても…」
「なんだ!冴木と半半羽織は夫婦になったのか!」
「な、なってないよ伊之助くん!夫婦だなんてまだ気が早いよ!」
「だが近いうちにそうなるつもりだ」
「と、冨岡さん!!!」
「ちょっと!惚気は俺が居ない時にしてくれない!?あーあ、まさか冴木さんに裏切られるとは思ってもいなかったよ!」
「裏切りなんて人聞きの悪い事言わないでよ善逸くん!」

先日までシンとしていた蝶屋敷、だが今日はとてもとても賑やかであった。

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