師団活動中

「バトラパーティて販売する予定の試作品でーす!」
「良かったら食べてみてね!」
「気に入ったらバトラパーティで是非買ってね〜!」

悪魔学校の休み時間に活動しているのは魔料理研究師団の面々。彼らは各々籠を手にしその中から簡単にラッピングされた袋を取り出しては興味を持った生徒らにそれを配っている。

「はいっ、良かったらどうぞ!」
「わぁ可愛い!どうもありがとうっ!」

魔料理研究師団の一員であるアリエノールも中身は何だろうと気になる様子の女子生徒にニコリと笑顔で袋を手渡す。中身は女子が好きそうな可愛くデコレーションされたお菓子だから貰った生徒も笑顔になった。

「アリエノールさんっ」
「あっ、入間くん!」

そんな時丁度通りかかったのはクラスメイトの入間。

「師団活動中?」
「うん、バトラパーティの時に出す予定のお菓子の試作品を配ってるの!」
「へぇそうなんだ!わ、美味しそうだね!」
「これは魔奴隷濡でこっちが魔袈論だよ、どっちも本来のレシピにアレンジを加えた魔料理研究師団のオリジナルなの」

悪魔学校バビルスではもうすぐ師団披露が行われる。師団披露とは各師団による発表会で新人団員披露会を兼ねた恒例の行事だ。開催は前夜祭、本祭、後夜祭の三日間からなりその間各師団の様々な出し物が行われる。アリエノールが所属する魔料理研究師団では出店を予定しており、本日はその時配る予定のお菓子の試作品を配り宣伝を兼ねて皆の反応や評価を見ているのだ。

「これ、良かったら入間くんも食べてみて!」
「えっ!貰っていいの?!」
「うん!その代わり感想聞かせてね!」
「勿論だよ、ありがとうアリエノールさん!」

アリエノールが入間にも試作品を手渡すと入間はとても喜んでくれた。そしてその時丁度師団の上級生が「みんな次の場所に移るよ〜」と声がかかった。

「あ、行かなくっちゃ!」
「頑張ってねアリエノールさん」
「うん、入間くんもバトラパーティの出し物頑張ってね!…あ、そうだ。それ食べて体調に異変を感じたら魔料理師団か医務室まですぐ来てねっ」
「えっ!?何かあったらって何?!これ食べると何か起こるの?!」
「えへへ大丈夫〜試作中に食べて急に泣き出したり笑いが止まらなくなった先輩も居たけどみんな体調に問題なかったから〜!」
「それって問題出まくりだよ!!」

本当に大丈夫なの?!なんて焦る入間の声を背にアリエノールはヒラヒラと手を振り師団の仲間達に続く。

「…」

そんなアリエノールをジッと見ている一人の男子生徒がいる。何も言わずにただアリエノールを目で追っていて、それに気づいたアリエノールと目が合うとサッと視線を反らしてしまう。何か言いたい事があるのか分からないがアリエノールからすれば試作のお菓子に興味があるように見えたらしい。

「これ、どうぞっ」
「っ!ぼ、僕に…?」
「はい!バトラパーティでも魔料理研究師団をよろしくお願いしますね!」

アリエノールは男子生徒に近寄ると試作のお菓子を手渡した。男子生徒はまさか自分が貰えるなんて思ってもいなかったのか突然アリエノールに声掛けられあたふたとしながら袋を手に取る。試作品を受け取ってもらうとアリエノールはニコリと笑いながら師団の宣伝をし駆け足で上級生らの元へと戻って行った。



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