婚約者という関係

バビルス悪魔学校の筆頭教師ナベリウス・カルエゴ。そしてそのカルエゴが担任するクラスの生徒ブエル・アリエノール。二人は教師と生徒、しかし学校に入学する前からの知り合いで実は婚約者と言う関係だ。ただ婚約者と言ってもお互いが好きで婚約を決めたのではない。

二人の出会いは数年前…カルエゴが今より少しばかり若くアリエノールがまだあどけない少女だった頃だ。フとしたきっかけでアリエノールの両親がカルエゴの事を気に入り、是非うちの娘の将来の夫になっておくれとブエル夫妻から結婚を申し込んだ。ブエル家の人々は家柄だけではなく人も良い、断る理由なんてものはないから息子で良ければ是非とカルエゴの父も喜んでその申し入れを受けてカルエゴとアリエノールは婚約者と言う関係になったのだ。

それがきっかけで家族ぐるみの付き合いが始まった。カルエゴとアリエノール、そして互いの両親や兄弟達が集まり食事会をする事もあってその時に数える程度であるがカルエゴとアリエノールも何度か会話を交わしたりもした。しかしアリエノールはまだ幼いせいか婚約者と言われてもあまりピンときていないようで歳の離れているカルエゴと共通出来る様な話題も無く二人きりにされても楽しげに話している家族を見てニコニコとしているばかり。カルエゴもカルエゴでこんな年下の娘とどう話せばいいのだといつも困り果てていた。両親が決めたとは言えこんな事になるなんてこの子も可哀想に、はじめカルエゴはそう考えてばかりだったのだ。

「元気だったかアリエノール」
「はい!カルエゴ様お久し振りです!お会い出来るのを楽しみにしていました!」

だが時が経つにつれてアリエノールも成長し昔よりも普通に何気ない会話なんかが出来る様になった。出会った当初はカルエゴも年下相手のアリエノールに敬語を使っていたが今ではそれもなく話せるしアリエノールもカルエゴの目を見て笑ってくれるようになった。

「近頃お父様がね、早く結婚式をあげようってしつこいの!余程カルエゴ様の事を気に入っているのね」
「それは有り難い事だな」
「私だってすぐにでも結婚したいわ、でも来年は学校に入学するしせめて卒業するまで待ってもらわなくっちゃ」
「…その事だがアリエノール、どうしてもバビルスに来るのか」
「勿論です!カルエゴ様は私がバビルスに行くの迷惑ですか?」
「迷惑ではないが…」
「安心してください、カルエゴ様に迷惑はかけませんから!学校でカッコ良すぎるカルエゴ様を見つけてベタベタしたくなっても我慢します!」
「…本当だろうな?」

アリエノールは年上の婚約者の事をカッコ良いと言ってくれて好いてくれている。

「兄達も皆バビルスの生徒だったから私も入学すればお父様達もとても喜んでくれるわ」
「そうか」

素直で明るいアリエノールをカルエゴだって可愛いと思う。親同士が決めたとは言えカルエゴとアリエノールの関係はお互いを想い結婚を誓い合った者同士の婚約となんら変わらない。

「私、お父様達の喜ぶ顔を見るの大好きなの!」
「…」

だがその良好な関係はアリエノールの健気さ故に成り立っているのではないか、とカルエゴは時々思うのだ。





※カルエゴ先生の家族について兄がいる事しか出てませんがお父様が居ると捏造してます。



  
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